02


「うっぐううう……っっ」
「死ね。死んで今すぐ詫びろ。いや、ただ死ぬだけとか許さん。まずは人のケツに突っ込んでる汚いモンをちょん切って爪を剥いでミキサーにかけたやつをお前のケツに流し込んだる」

 こ、いつ、ちょっとはダメージ受けてるのかと思ったらいつも通りじゃねえか!
 乱れた髪の隙間から見える目には殺意しか見えない。けれど怪我でいつもより力の出ないこいつの抵抗なんか簡単に外せるもので、肩を掴んで弱まる腕を払いのけると、問答無用で腰を打ち付けてやった。

「う、っあ!」
「自分の状況考えろよ、しっかり勃ってるくせに強がんなっての!」
「ひっ」

 蹴ろうとしてくる右足を逆に引き寄せて抽挿を始めれば、一星はもがくようにシーツを引っ掻く。すっかり乱れたベッドの上で暴れる男を抑えつけて無理矢理征服して、何がしたいんだ俺は。

「くそっ」
「あぁっ!」

 絡みついてくる内壁に苛立ちが収まらない。男に興味はないとか言っておいて、中身はただのビッチかよ。

「う〜、うぅ〜〜」
「トオルって奴相手に散々腰振ってたんだろ、身体は正直だな」

 シーツにしがみついて唸り声をあげるが、頭を掴んでこちらを向かせればもう限界寸前、みたいな蕩けきった顔を見せている。なんだ、お前んな顔も出来るのか。

「あ、っぐ、ぅ…」
「もうちょっと色っぽい声出せよ」
「ひっ」

 耳元でそう囁いて舌を突っ込めばケツの穴がきゅうきゅう締まる。眼鏡が邪魔で取り上げると、慌てて腕を伸ばす一星に笑みが漏れた。

「こうやって最中の素顔見てるとお前、結構可愛い顔してんだな」

 からかわれたと思ったのか顔を真っ赤にさせて睨みつけてくる一星だったが、涙で潤んでる目では何の凄みもない。前髪が額にへばりついていてそれが余計色っぽい。シャツからチラチラと覗く項にムラっとして、俺は襟を引っ張ると露になったそこに遠慮なく噛み付いた。
 肩を揺らして逃げようとする一星の首に歯型がついたことに満足感を覚えると、馬鹿の一つ覚えみたいにその周辺を吸い付いて汗ばむこいつの体臭を堪能する。髪の毛を強く引っ張られて抵抗されるが、正直ほとんど身体の力が抜けた一星の体力ではじゃれてきているようにしか感じられなくて。

「あー…もう出そう」

 しがみついて離さないとでも言ってるかのように俺のものを締め上げるこいつの内壁は気持ちよくて、いつもならもっと耐えることが出来るのに俺は強い射精感に降参の声を上げた。
 顔を両手で押してくる一星に構わずそのままゴム越しとは言えナカで欲を吐き出す。ついでに勃起した一星のものも扱いてやれば、泣きそうな声をあげながら呆気なく果てた。
 イってしまえば後は賢者タイムの突入で、冷静になった頭でようやく自分のしたとんでもない失態にとりあえず自分のモノを引き抜く。ゴムの中で意味もなく生を終えようとしている精子の濃さにそう言えばこいつを狙ってから誰ともしてなかったことを思い出してドン引きした。いや、濃さもそうだが量もすげえな。
 早く手放したくて適当に結ぶとベッドの近くにあったゴミ箱に放り投げる。綺麗に入ったそれを見て一星に視線を向けると、顔を両腕で覆い隠し蹲って動かない姿に少し焦りを覚える。男と付き合ってんのに彼女がいるなんて嘘つかれたとはいえ、流石にやり過ぎたか。

「あー……、おい、一星――」
「はよ出てけ、今ならゴリラにヤられたと思って忘れたる」
「…何だよゴリラって」
「粗チン言うとんや、ええからはよ出てけゆうとるやろ…ッ」

 最中はろくな抵抗も出来ずほとんど泣いてるような顔で可愛げがあったが、終わればこれか。思わずこめかみが引き攣る。

「その粗チンにケツ締めてたのはどこのどいつだよ」
「うっさい仮性包茎!勃ったら剥けるからって調子乗んなボケ!」

 ……こいつ。
 顔を隠して蹲ったままでも憎まれ口はいつも通りか。なんだか罪悪感を覚えてた俺が馬鹿らしくなってきた。俺は一星の腕を掴むと、無理矢理顔から引き剥がしてこちらを向かせる。

「お前…ッ、大体そっちが俺を騙すなんて下らねえことするからこんな目にあってんだろうが!」
「ち、ちょ、あ、あか……っ」

 慌てた声が耳に入るが知ったことではない。両腕をシーツに抑えつけて罵ってやろうと口を開く。

「そもそもてめえだって十分楽し、ん……で」

 が、言葉は少しづつ喉の奥に消えていった。視界に映る一星は言葉とは裏腹に顔を真っ赤に染め上げて潤む瞳を必死に逸らしている。それはどう見ても誘っているような、扇情的なもので。
 カッとなって忘れてたがそういやこいつ、媚薬飲まされてたんだったな。


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(C)siwasu 2012.03.21


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