カチャカチャ、ジーと生々しい音に俺はほぼパニックになりかけながら、どうにか説得しようと口をパクパクと動かす。それを誘ってると勘違いしたのか、男はぼろん、と半勃ちのちんこを俺の眼前に出すと先端に口を近づけ――。 「んーっっっ」 「ほら、口開けろって」 必死に口を閉じていても唇に当たる生々しいちんこの感触も、鼻につく独特のえぐみも、今まで生きてきた人生で一番最悪かもしれない。幼稚園の時こけて犬のうんこが頬に付いた時よりも最悪だ。 それに俺のケツを狙い続けている方の男も徐々に穴の方へと指が迫ってきている。肛門の入り口を円を描くようになぞられてたまらず肩を震わせるが、それは待ちきれないからじゃない、やめろ、あかん、それだけは、 「許すかボォケー!!!!」 怒鳴り声と同時に、俺の上にいた二人が吹っ飛んだ。見張り役のもう一人は外の様子を見ていたせいか、何が起こったか分からず目を丸くさせている。 「いっ、っ、肩抜けたやんけ……」 自分の限界なんて気にせず思いっきり上半身を振り回したら肩が抜けて、そのまま遠心力で拘束からすっぽ抜けた左腕がちんこを突き出してた男の股間を思いっきりぶん殴る形になった。 同時に、スラックスから引っこ抜けた右足が俺に圧し掛かっていた男の鳩尾を直撃。スラックスの上から拘束されていたおかげで、どうにか抜け出せたようだ。肩は外れ下半身は半ケツのパンツ一丁という情けない姿だが、ケツと口にちんこをぶち込まれるよりはマシだろう。 「ふんっ」 未だ状況がつかめずに固まっている最後の一人の顔面を思いっきりぶん殴って三人のスマートフォンを確認すると俺が映っている写真を消去していく。げ、寝てる間に乳首にちんこ擦り付けられてる……後で念入りに洗お。 気絶している男たちに一応念を入れてもう一度鳩尾に一発決めて、ようやく安心した所で俺は力が抜けて椅子に座りこむと、立てなくなってしまった。散々暴れたから催淫剤も回ったのだろう、頭がクラクラして誰かに連絡を、と思ってもまともな思考が付いてこない。 頭の中はとにかくこの熱から解放されたくてどうにかなりそうで、俺はこのままではいけないと助けを呼ぶ前に一発抜くことを決めた。 実際冷静な俺が見ればそんなことをしてる余裕があれば助けを呼ぶなりせめてここから離れろ、と忠告しているところだ。しかし、熱に浮かされた体では今外に出て助けを求めたところでその相手がこんな俺の状況を見て素直に言うことを聞くとも思えなかった。 場合によってはまた同じようなことが起きると判断ができるほどには自分の容姿や現状を多少は理解している。 「とりあえず一回抜いてもうて――もう少し落ち着いてから風紀に逃げ込も」 めっちゃ嫌やけど仕方がない。こいつらを風紀に突き出す必要もあるし、風紀ならこういったケースに対応したカウンセリング室(という名の熱が引くまで落ち着ける個室)があると聞く。 レイプ未遂された後なら流石の三亜ホモもちょっかいはかけてこないだろう(かけてきたら会議で問題にしてやる)そのままほとぼりが冷めるまでそこで身を潜めて、薬が切れたら庚を探しだして殺す。絶対殺す。 「ん、」 庚への報復を決意しながら、俺は半ケツになったパンツの中で中途半端に勃起したちんこを右手で包み込んだ。そういえば最近いろいろあって自慰をするのも久々かもしれない。覚えのある気持ち良さに肩を震わせて、なるべくさっさと終わらせようと指で輪っかを作って扱きあげれば、すぐに射精感が迫ってきて思わず内股がひくついた。 「は、っ」 やばい。めっちゃ気持ちいい。 催淫剤のせいか、いつもの倍以上の気持ち良さを覚えながら、俺はすぐに手の中をベタベタに汚してしまう。 「あ、でもやっぱ虚しい……」 しかし射精後の賢者タイムは薬が効いていても同じらしい。死んでいく精子たちに心の中で手を合わせて、汚れた右手は倒れてる奴のシャツで拭ってやる。俺を襲えるぐらいだ、精子を付けられても本望だろう、知らんけど。 「あっつ、」 しかし一度抜いて心は落ち着いたとはいえ、体の熱は収まるどころかますます酷くなっている気がする。左腕がまだ外れたままなのでボタンは掛け違えてしまったが何とかシャツの前は留め、ビニール紐を外してスラックスを穿き直した。 肩の痛みは催淫剤のおかげで麻痺しているのか分からないが、全てが済んだ後で騒ぐんだろうな……と、なるべく触らない様にしつつさぁいざ風紀に通報するかと自分のスマートフォンを取り出したところで――扉が勢いよく開いた。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |