02


「んん、」

 酷い頭痛に思わず二度寝をしそうになった思考を無理矢理起こして、俺は何とか意識を浮上させた。
 記憶が確かなら、俺は庚によってスタンガンで気絶させられていた筈だ。
 薄ら寒さと茹だるような熱が同時に襲ってくる違和感に、どうにか重い瞼を開くとすぐ見えたのはおそらく視聴覚室の床だ。映画館をイメージしているのか、落ち着いた赤の絨毯が特徴的なのでよく覚えている。

「思ったより早いな」

 次に聞こえてきた声に、俺は気絶する前から予想していた不安が当たっていることに気付き思わず舌打ちした。
 これはあれだ、十瑠がその手の本で散々読み聞かせてきた「制裁によるレイプ」というやつだ。実際この学園では多くはないが度々問題に上がってくるので、珍しくはないのだろう。慣れた手つきで俺の体を触る男たちを睨みつける。そのツラしっかりと覚えたったからな、覚悟しとけよ。
 しかしそんな俺の虚勢など男たちにとっては煽るだけの仕草だったらしい。嬉しそうに笑みを浮かべながらスマートフォンをこちらに向けて撮影してくる。

「やっぱり副会長ともなると緊張感も興奮も違うもんだな」
「っ、今ならまだ忘れて差し上げますが?」

 無意味だと分かってはいるが一応聞いてみた。が、返ってきたのは卑しい笑みのみ。そらそうやわな。
 話は終わりだと言わんばかりに首筋に顔を埋められて、開いたシャツから見える乳首を摘まれた。指先から与えられる刺激はいつもより敏感になった肌には痛いほど伝わる。

「っう、」

 おそらく催淫剤の類を飲まされているのだろう。じわりじわりと興奮する体を理性で押し留めようとするも、指の腹で先端を揉まれれば覚えのある快楽が迫ってくる。
 十瑠との行為で、本来男にしないような愛撫を繰り返され開発されているので、こういった女を扱うような触り方はとても、いや、めちゃくちゃあかん。やばい。

「何だ、感じてるのかよ」
「副会長様びんかぁん」

 下卑た笑いに青筋が立つが、両腕は後ろ手に縛られているし、足首も重ねてビニール紐で椅子の脚に固定されているため、精々寝転がりながら膝を曲げることぐらいしかできない。非常にまずい。

「っ、ぁ」

 自分の現状をもう少し把握しようと足元の椅子を見下ろしていると、シャツの隙間から脇腹を直接撫でられて思わず声が出かかった。すぐに喉で止めたが、漏れた分はしっかり男たちに聞こえていたらしい。ああぁぁぁ、めっちゃその気になってる。最悪や。
 これ以上声は出すまいと歯を食いしばって頭上で俺を見下ろす奴らを睨み付ける。
 三人。多くも少なくもない、人を短時間で手早く襲うには丁度いい人数だ。
 実際庚に気絶させられた時背後をとった男もこいつらの内の誰かだろう。生徒会業務の途中で連れ去られている訳だから時間はまだそんなに経っていないはずだ。見渡すと時計が見えた。生徒会を出てからまだ四十分程度しか経ってない。
 用事の先が職員室だったので、多少遅くなっても先生に捕まっていると思われるだけだろう。一時間も帰って来なければ心配して探し始めてくれるだろうが、探し始めてここに辿り着くのに早くて三十分。つまり今から合計一時間弱こいつらから逃げることを考えなければならない。

 …………いや、無理やん。絶対無理やん。
 レイプやねんから前戯もそこそこ、慣らしもなしで一人十五分あれば一発可能やろ、三人で四十五分……わぁ、ぴったり一周!ってちゃうわ!!!
 自分のツッコミに思わず興奮してしまって脳がクラクラと揺れる。体内でもどかしい熱は男が触る場所からどんどん解放されるように燃え上って理性が飛びそうだ。スラックスに手をかけられベルトを緩められても、もがくことでしか抵抗が出来ない。
 十瑠の読ませてくれた本はこういう時どうやってピンチを乗り越えてたんやっけ……えっと、えっと、確か間に合わなくて散々ヤり倒された後からのお浄めセックス……って参考にならんわアホ!!!!

「んっ」

 そんな脳内漫才を繰り広げている間に、男の手は俺のパンツの中にまで侵入してきた。すっかり勃起しているちんこに手を添えられ、そのまま金玉へと撫でられると揺れたくもないのに腰がびくびくと男を誘う。
 唾を飲み込む音が聞こえて覚えた嫌な予感は当たりだった。圧し掛かった男は、耳を舐めながら玉の裏から伝いなぞる様に蟻の門渡りの上をしつこく撫でてくる。まるで女の穴にするような行為に普通だったら気持ち悪い、と反応するところなのだろうが、生憎俺はそこも十瑠にしっかり開発済なわけで。

「ん、んんっ、ぅ」

 催淫剤の効果もあってすっかり敏感になってる体は嫌でも快感を引き出してくる。しかも歯を食いしばってても漏れる声は、男たちにとって我慢を忘れさせるものだったらしい。様子を見ていたもう一人が急くように自分のベルトを緩めだして俺は目を丸くさせると慌てて体を捩じって抵抗した。

「声出さないんだったら勿体ないだろ、有効活用しなくちゃなぁ」

 それだけは嫌やー!!!!!


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(C)siwasu 2012.03.21


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