「――と、いうわけで暫く橘と行動することなったから」 「「へえ〜〜」」 話を聞き終わって、目を丸くさせた双子がもの珍しそうに橘を見る。 不躾な視線を向けられて、居心地悪そうに橘が身じろいだ。 「がちでこいつらに話してよかと」 「椿らはおもろいことに関してはめっちゃうざいけど、秘密は守る常識はある……ってことは俺の件で確認できてる」 未だ好奇心旺盛な双子に対して疑いの目を向ける橘に、俺は安心するよう返してやると、双子も合わせて頷いた。 「四鶴の喋り方おもしろーい」 「なんか強そう」 「「よかとよかと!」」 「あと生徒会室でぐらいゆっくりしたいやろ」 「あーね…」 まだ何か言いたげな言葉は分かる。 「おい!てめえらいい加減に開けろ!!」 入口の方からうるさいアホの声を無視してかれこれ10分ほど経つが、なかなかしぶといな。 もう少しトイレで恥辱に苛まれているのかと思ったが意外と立ち直るのが早い。 「うちにはパンツ丸見えの恥ずかしい会長なんていませんからー」 「からー」 「やっぱりてめぇらも気付いてたな!何で言わなかったんだよ!!」 そりゃこの話をするのにアホは邪魔だと判断したからに決まってるだろ。絶対途中で茶々入れしてきそうやしな。 と、言ってしまうとまた面倒くさいので黙っておく。 「会長はどうするん」 「あれはまぁ……アホやからどうとでも誤魔化しがきくやろ」 そう言いながらこれで話は終わったばかりにテーブルの上を片付けだした双子に合わせて俺も扉の方に向かうと閉めだした会長を中に入れてやる。開けた途端に怒声を浴びせてきたので腹に一発拳と、ついでに頬に唇を寄せれば大人しくなったので後は放置してても大丈夫だろう。 「いつ手懐けたん……」 「いや、こいつが俺のこと好きやって点をめっちゃ嫌やけど受け入れたら、意外と扱いやすいことに気付いてしまってな……気付きたくなかってんけど……」 しかし貞操を守るためにも認めなければいけないところは認めた方がいい、と昨日十瑠に教わったので言われた通りにしてみたが――あいつの思惑通りな気がして納得はまだ出来ていない。 「あとは五華くんかぁ」 「でも五華くんは無理だろうね〜」 これで橘の件は残ってる問題はあるにしろある程度解決したので安堵の息をついていると、双子が最後の一人の生徒会メンバーを口にした。 「庚?庚も話せば戻ってきてくれそうやけど」 庚五華(かのえ いつか)は橘と同じ会計をしている。赤い髪でピアスもじゃらじゃらついた如何にもなチャラ男だが、手を出すのは自分の所の親衛隊だけだし、仕事はさぼりまくるが絶対必要な書類は期限ピッタリに提出してくれる、ある意味そこだけは信用できる男だ。 可愛くてなよなよしたような奴ばかり侍らせているのでああいう煩い転入生に入れ込むとは思えないが、こちらもまた何か理由があるらしい。 「次は東北弁かなぁ……」 「そんな方言キャラいらんけんね」 呆れたツッコミが橘から入って、それにぎょっとした会長が俺を見たが――こいつへの説明は後ででいいだろう。 「そういえばお前元がそんな性格やのにあの厭味ったらしい風紀は大丈夫なんやな」 「あぁ、副委員長が元々九州出身やから気が合うとよ。やけん風紀も知っとる」 「成る程……確かに風紀もお前みたいなガチ問題児ある程度監視しときたいわな」 「失礼な。合コンメンバーたまに風紀のヤツ混じるとよ」 「!?!?!?」 end. [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |