無言になるシスに、マオは顔を近付けると、耳元で囁きながら下腹部を撫であげる。 「でもさぁ、ここに子宮できて、いっぱい俺のザーメン注がれて、本当の女にされたら……すげぇ気持ちいいと思うんだけど」 「ふぁ……っん」 へその下、いつも行為で疼く胎の部分をぐっ、と押されて、シスは思わず想像してしまう。 今でも狂いそうなほどの快楽を得ているのに、その場所すらも作り変えられ、犯されたら。 まだそこには何もないはずなのに、疼いてしまう。シスは思わず熱い吐息をこぼした。 「あ……ぼ、僕が、孕む……」 「シス、こっち向いて」 「な……んっ」 治まった熱が昂り、陰茎が反応を見せる。 まだ見ぬ快楽への妄想でぼんやりしていたシスは、マオに呼ばれるまま顔をあげて、落ちてきた口付けを受け止めた。 絡まる舌から唾液が喉を伝う。分泌を止めていた秘部が、またじくじくと湿りを呼ぶ。 「あっ、ん、んぅ」 浮かされていく意識に翻弄されながら、シスはまだ頭の中でマオの言葉を反芻していた。 膣の奥、まだ知らぬ感覚。そこにある未知の悦び。 シスの思考が欲望で満たされた頃、離れた唇が誘惑する。 「シスは? 子宮で俺の精子いっぱいにしたくない?」 「は、ぁっ……精子、いっぱい、ほ、ほし……っ」 体液とマオの言葉によって、すっかり理性を飛ばしたシスは、首を縦に振った。 その瞳孔は、ハートが散らんばかりに蕩けている。 「ん、まお……っ、あ、んぁっ」 想像するだけで軽く達してしまう。 浅ましさに自己嫌悪する気も失せるほどの高揚感に溶かされたシスは、また再開される口付けを喜んで受け入れた。 「あ、まっ……マオ、僕が脱がせたい……っ」 衣服を脱いでいこうとするマオに、シスはそう言って手を伸ばす。 人の衣服を脱がせるのは初めてのことだ。 苦戦しながらもボタンを外していると、大人しく見ていたマオが焦れたのか、露わになった双丘の間に指を這わせた。 濡れたその場所は柔らかく、ひくひくと収縮する。孔がマオの指を飲み込もうと、意思と関係なく蠢く。 「んっ、あ、あっあっ! まって、邪魔しないで、んっ、くれ……ぁンッ!」 「勝手に食ってるのはお前の方だろ」 彼の言うとおりである。奥へと誘おうとする動きを意識して止めながら、シスは何とか開いたマオのシャツを勢いよく脱がせ、放り投げた。 そして目の前に見えた胸板に、思わず息を呑む。 「あ……」 「シスと比べたら貧相だから、脱ぐのは抵抗あんだけど」 そういえば、マオの裸体をまじまじと見るのは、これが初めてかと気付く。着替えも水浴びもさっさと終わらせることが多いため、精々目の端で背中を見たことがある程度だ。 白く、きめ細やかな肌は、その骨付きから男性だと理解しているものの、美しいと素直に思う。 「そんなこと、ない。きれい、綺麗だ……マオの、体……んっ」 そのまま下衣に手をかけ、ずり下ろしていく。 そして、既に下着の上から膨らみを見せている逸物を見て、シスはおずおずと口を開いた。 「マオ、その……先にく、口で……させて、ほしい」 「無理にする必要ねえって」 「ちがう、僕が、奉仕……しゃっ、しゃぶりたいんだっ」 そう言って、シスは驚くマオを余所に下着をずり下ろすと、股座に顔を近付ける。 呆れながらも、それ以上止める気はないのか、マオはため息をついた。 「いいのか? ダライア入ってから全然洗ってねぇけど」 「んっ、あ……いい。臭いの、興奮する」 「……お前、だんだん変態度あがってきてねえか」 マオは思わず半眼を向けた。 しかし、シスの頭は眼前の剛直に夢中になっていて、マオの言葉など耳に入らない。 むわり、と鼻腔をくすぐる雄独特の湿った臭いに、嫌でも胎の奥が反応する。 返事を待たず、シスは焦った手つきで下着も脱がせると、飛び出した逸物を嬉しそうに飲み込んだ。 「ん、んぶっ……はっ、はーっ、あっ……んむ」 じゅぽっ、じゅるっ、くちゅ……じゅっじゅるるっ。 喉奥まで咥えこんで締め上げながら、舌で裏筋を愛撫する。 マオの言う通り、汗と湿気で腐ったミルクのような臭いが口内に広がった。 しかし、えぐみのあるそれもマオのものだと思うだけで、興奮する。胎が熱くて仕方が無かった。 「んっ、んぅっ、んっ……ぷはっ、はーっ、はーっ、んっ、んむ……あぁっ、あっ、あつ、い……」 「うっ、く……ちょ、た、たんまっ! 出すなら下がいい!」 愛撫の順序もへったくれもない。 がっつくシスの口淫は、すぐにマオを射精へと導く。 特にレベルも上がった今、三秒でイかせることなど容易い彼の動きに、マオは慌てて頭を掴んだ。 口から抜け出た逸物を残念そうに見つめながら、シスはほてった顔のままジト目を向ける。 「……僕は飲みたかったのだが」 「中出ししたいからやだ。明日にしろ」 「…………」 「お前、もしかしてその淫乱体質って、アイテム性能じゃなくて元々の素質じゃね?」 マオは、想いが通じ合った途端に吹っ切れるシスの大胆さに苦笑しながら、馬鹿にしたような視線を落とす。 勿論、本当に馬鹿にしているわけではない。 売られた喧嘩に、いつもと同じく理性が戻ればと思っての言動だ。しかし、残念ながらシスは恥ずかしそうに口をもごもごと動かすだけで、変わる気配はない。 むしろ、驚くような言葉を口にした。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |