降ってきた唇は、深いが触れるだけのもので、そんな恋人同士が行うような口付けは初めてだと、頭の片隅で思った。 「んっ」 角度を変えて、何度も口付けが落ちてくる。 唇を食み、啄み、深く繋がる。 舌が入ると体液ですぐ理性を失ってしまうが、触れ合うだけのそれは、シスの心をなみなみに満たしてくる。強い快楽がなくとも悦びに体が震える。 言葉の苦手なマオが、シスへの想いを伝えた、今までの中で一番甘い口付けだった。 「は、ぁ……マオっ」 「その誘い方、どこで教わったんだよ」 「あ……教わってなど……んんぅっ」 また深い口付けが交わされ、ようやく舌が差し込まれる。温かく分厚いそれを迎え入れながら、シスも自分の舌を絡ませた。 「は、ぁ……あっ、んっ、んんっ」 くちゅっくちゅっ、ちゅるっ、ぴちゃ、ちゅるっ。 唾液が混じり、生々しくなってくる音と空気に、甘い香りが漂ってくる。シスは臀部が熱を持ち、愛液を垂らし始めるのを感じながら、濡れそぼった蕾をひくつかせた。 蕩けるような快楽から、徐々に思考がぼんやりしてくる。 理性を飛ばし始めているシスを見て、マオは口付けを止めると、頬を軽く抓った。 「もうちょっと楽しみたいから、まだトぶなよ」 「はっ、んっ、まお……も、おしり……あつい……ぬれたところがじんじんする……っ」 シーツには、既にシスの愛液で染みが出来ていた。 まだ膣は出来ていないというのに、まるで女性のように挿入部分を疼かせ感じるシスを見て、マオは唾を飲み込むと、理性を総動員して留まった。 求めに応じて入れてしまった方が早い。けれど、それでは今までの行為と変わりない。 「待てって、まだそっちは触んねえ」 「そ、んな……ぁンッ」 シスのことを恋人のように抱きたいのだと、愛したいのだと態度で示すマオ。 だが、アダルトアイテムとしてのランクも上がり、快楽によって調教されたシスにとっては、拷問のようなお預けだった。 逸物も限界なのに、マオは下半身に一切触れようとしない。 瞼、頬、耳まで全て唇で愛撫を繰り返す。 心は喜びで満たされるが、今か今かと待ち望んでいる孔はもどかしさを募らせていた。 「まお、おねが……触って……っ」 「でも、こっちも触ってって主張してんじゃん」 「あっ、ちがっ……あっ、あっ、んあっ、そこっ! あっ、きもちぃ……っちがぁっんん……あぁっ!」 「どっちだよ」 くにっくにっこすっ、くりっくにっ……こりっ、こりこりこりこりッ。 硬く立ち上がった乳頭に気付いたマオの指が、執拗に赤い果実を擦り始める。摘まんで引っ張られると、びりり、と痺れるような快感がシスを襲った。 「はぁっん、アッ、アッ、ひぁっ」 二つの突起を押し潰されると、痺れが疼きに変わっていく。 「おっぱいも気持ちいいだろ?」 「あっ、おっぱ……ぃ、きもちい……んっ……もっと、な、なめて……吸って、ほし……っ」 胸の刺激が癖になってきたのか、そう言ってシスは自分から強請るように胸を突き出す。 マオは、ぷっくりと腫れた頂きに誘われるまま口に含んだ。 れろっれろっ、くちゅっ、ぬるぅ……っ。 陰核を愛撫するように舌で弄り、軽く吸えば、シスは嬌声をあげてビクビクと腰を震わせる。 「ひぁあっ、あッ、あんっ、んっんっ、んぅっ……だめっ、あっ、もっと、ぉ……っ」 舌先で小さな飾りを何度も弾き、時にこね回す。もう片方は指先で摘ままれ、その腹で擦られる。 シスは限界だと声を押し殺して、マオの頭を抱き寄せた。 「んっ、んぅ〜〜〜っっっ! んっ、ひぅっ」 ぴゅっ、びゅくっ、ぴゅびゅーーッ。 腰をかくかくと前後させて、シスが荒い呼吸を繰り返す。 見れば、下腹部が白濁に塗れていた。 「は、ぁ……っ、あ、んっ」 「そんなにおっぱい吸われて気持ち良かったのかよ」 「き、もち、良かった……、……っぅ」 そう恍惚とした表情で言ったシス。 だが、一度精を吐き出して理性を戻したのか、自分の胸をまじまじと見つめて呟いた。 「うぅ……っ、こんなにはしたなく腫れた胸……戻るのだろうか……」 「えー、戻らなくてもいいだろ。むしろ育乳しようぜ、育乳」 不安そうなシスに、マオはそう言いながら胸を揉みしだく。 旅の中で更に筋肉を付けたせいか、それともマオの愛撫のせいか。出会った頃より僅かだが育った胸は、中央に赤い飾りを主張させて、まるでそこが性器だと言わんばかりに勃起している。 「んっ……そんなことをして何になる」 「赤ちゃんができた時のためとか?」 「……おい、僕が男だということを忘れていないか?」 さも当然と言わんばかりの表情を見せるマオに、シスは思わず半眼を向ける。だが、マオは不思議そうに首を傾げると、シスのぷくりと立ち上がった突起を弾いた。 「んぁっ」 「オナホアイテムになってから濡れるようになったし、まんこ出来たし、次のランクアップで孕めるようになってもおかしくないと思うけどな」 「こ、怖いことを言うな……っ!」 子供ができるということは、その腹に命を宿すということだ。 いくらアダルトアイテムになって都合のいい体に変化したからといって、流石にそれは有り得ないだろう。 ……有り得ないと思いたい。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |