「ひ……ぃッ! ……アッ、あ、あぁ……あ」 「まだトぶなよ、俺がイってねえんだから」 頬を軽くたたくと、宙に浮いていたシスの目が動く。 蕩けた瞳は快楽に満ちて揺らめき、すぐにマオを捉えて色を変えた。自分の足を抱えて深くまで受け入れながら、シスはへらりと笑う。 「はっ、ぁ……だ……じょ、ぶ……だ……ふっ、ん……マオ、はやく、中に、だしてくれ」 そう言ってマオを抱き寄せると、グッと自身に引き寄せる。 膣が締まりうねる中で、マオは射精感に身震いした。 体を支えると、逸物を力強く引き抜き、限界を高めるために一層強く奥へと叩きつける。 ズヌヌヌ……っぐぱん! ぱんっ、ぐぱんっ、パンッパンッパンッ、ズパンッズパンッ! 「あ、ひっ、あぁぁぁぁ〜〜っ……あっ、あっ……もっと、もっとマオの全部がほし……っ、ひぐっ、んぁっ、早く、中にぜんぶだしてく、れっ! あ、あっ、あ――っ」 「本当お前って……あー、出る……イくッ」 びゅびゅっ、びゅるる……びゅーーッッッ。 びゅくっ、びくびくっ、ビクンッ! 「ンァッッッ、〜〜〜〜ッッあ……あ、いっぱ、い……はいってきてゅ……」 満たされる幸福感に、シスは何度も甘イキを繰り返して尻をくねらせる。最後の一滴まで強請る動きに、マオはまた反応を始める陰茎を鎮めつつ眉を寄せた。 開いた唇に口付けを落とし、舌を絡ませる。また濡れだす孔を緩く擦りながら、マオはシスの顔に口付けの雨を落とした。 「あっ、あっ」 優しい動きに緩やかな快楽で脳を浸されながら、シスは接合部を見つめる。最後までする気はないのか、愛撫の延長線上といった行為に、シスも余裕を取り戻してきた。 マオは汗で張り付いた前髪をかきあげて口を開いた。 「ったく。俺が我慢してるっつうのに。お前は人の気も知らないで盛りやがっ……へぶっ」 だが、最後まで言い切る前に、シスの両手がマオの顔を覆った。 思わず腰の動きも止まる。 指の隙間から見下ろしてみれば、そこには林檎のように赤くなった涙目のシスがこちらを睨みつけていた。 「……ろ」 「は? なに……」 「忘れろと言ったんだ……っ!」 いつもはそのまま気を失うか、しばらく余韻に浸って呆けていることの多いシスだが、今日は正気を取り戻すのが早かったらしい。 すぐに自分の行動や発言を思い出して、自身の醜態に唇を震わせていた。 「あ、あんな……はしたない行為……」 「今更なに言ってんだよ。今までエロいこと、い〜っぱいしてきたじゃねえか」 呆れながら言うと、シスは目尻を更に吊り上げる。 「ぼっ、僕は淫乱ではない! 何度も言うが、貴様がこんな体にしたから、僕は、僕は……くそっ」 シスは唇を噛み締める。今回のことで、自分の体がどれほどマオに依存しているのか思い知らされた。 アイテムの性能かもしれないが、もしアイテム登録を解除されても、マオに用は済んだと捨てられても、体が疼いてしまったら。 考えるだけで、悔しくて、惨めで、悲しくなる。 今まで勇者だからと自分に言い聞かせていたが、確信した。 シスはいつの間にか、マオに対して勇者という肩書ではない、彼個人に対して特別な感情を抱いていたのだ。 黙ってしまったシスに、マオは少し考えて、視界を覆う掌に舌を這わせる。 「ひぅっ」 まだ行為の余韻は抜けきっていないのか、それだけで反応してしまうシスの両手を取って、自分の指と絡ませる。 マオの指が皮膚を滑る感覚すら快楽を拾うのか、シスはびくびくと肩を震わせた。 女のように細いとは言い難い、長くすらりとしているが武骨な指に、マオは唇を寄せる。 「やだね。絶対忘れない。あんな可愛いシス、忘れろってほうが無理だし」 「っ」 聞き慣れないマオの甘い声に、シスは息を呑んだ。 体だけしか求めていないと分かっていても、そんなことを言われれば勘違いしそうになる。 鼓動を抑えながら、ならば、と渦巻く疑問を口にする。 「何故、最近……手を、出してこなかった」 飽きたわけではない。我慢もしていると言っていた。 ならば、ダライアに入ってからシスに手を出さなかった理由は何なのか。まるで求めて欲しいと言わんばかりの発言だが、シスは恥を忍んで問う。 マオは何度か瞬きを繰り返してから、少しだけばつが悪そうに笑った。 「例えばだけど、俺が負けたら……とか。そしたらシスはどうなるのか、とか……他にもまぁ、色々考えて、ヤるのはちょっと我慢すっかな、って思ってたんだよ。ほら、魔王城も近いからナイーブってやつ? それなのにお前は横でアンアン呑気にケツでオナってんだからよォ……」 「うっ」 最後の戦いが近付く中、マオは魔王討伐に向けて緊張しているようだ。 大人びた雰囲気を持っているとはいえ、十七歳。 元の世界では成人していない、まだ幼い少年が、見知らぬ土地に来て世界を守るために戦っているのだ。 それなのに、年上の自分は疼く欲望に身を任せ、あまつさえマオを淫らに誘うなど。 己の浅ましさを恥じながら、シスは絡ませた指を解こうとして、マオの手が僅かに震えていることに気付いた。 「……」 どれだけ不遜でクズな男でも、死を恐れないわけがない。 シスは、震えるその手に強く指を絡ませなおした。 「大丈夫だ、マオは死なない。僕が死なせない」 そう言って、祈るように手を握り込み、自分の方へ引き寄せる。 「それに、ここまでレベルも上げてきたんだ。僕は信じる。勇者は必ず魔王に勝つ。共に、勝利を掴もう」 「シス……」 「黒の宝玉を持つ美しき英雄に、フィリの加護を」 そう言って、先程マオがしてくれたように、唇を寄せて小さく口付けする。 その様子を見て、マオは盛大なため息を落とした。 「はぁ〜〜〜〜っ、すぐそういう可愛いことする。お前がんなことするからよォ……」 「……マオ? あっ」 「ちんこが完全に勃った」 「はぁ!? っぁ、あ、ちょ、まっ」 シスは、突然の激しい動きに目を丸くさせる。 すっかりシリアスなムードになっていたため忘れていたが、まだマオの逸物はシスの中に入っているのだ。 それが抉るように膣内を擦りあげてくる。 「あっ、や、マオっ、今はそういう空気じゃな……っあ! やめっ、んんっ!」 「あー、はいはい。ナカも乾いてきたしな。大好きな唾やるからごくごく飲めよー」 「なっ、きっ、さ、ぁ、んぐっ、くんっ……ふっ……あ、んあぁっ! ひんっ……あっ、あっ、ごりごりっ、気持ちいっ、からっ、だめぇ……っ!」 「やっぱ反応変わるな……体液に効果あんのか?」 「あっ、まおっ……もっと、ぁ……っ」 「よしよし、じゃあ大好きなおちんぽでいっぱいアクメ、キメような」 「ば、か……ぁっ、あぁぁっん」 こうして、元気を取り戻したマオによって、我慢していた分の激しく濃厚な行為が朝まで続けられた。 シスはそれに悲鳴をあげながらも、調子の戻った彼にどこか安心を覚える。 (やはりマオはこうではなくては) そう思いながら、いつものようにだらしのない顔を晒して、与えられるまま、快楽の波に溺れていくのだった。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |