「ほら、もう半分まで入ってるんだしさ……な?」 「うわ、いやだ……やめろ、本当に……あ、ンぁっ」 愛液を借りてするすると入り込んでくるローターの異物感に、シスは背筋を粟立たせる。 マオの逸物とは違うそれは無機質な硬さと冷たさを纏っていて、どうしようもない不快感を覚えた。 入りきったのか、中を拡げるそれは入り口の近くで止まっている。シスは口元を抑えて俯いた。 「気持ち、悪い……」 「まあ、入れただけだと硬いうんこみてぇなもんだからな」 「これが自慰の手助けだと? 何が楽しいんだ……出してもいいか?」 「待てって、動いたら分かるから。うーん、寝てんのかぁ? 死んだかな」 すっかり昂った熱も鎮まり冷静になってきたシスは、今の状況にげんなりとしていた。 孔に指を入れてローターをつつくマオをジト眼で見ながら、飽きてくれるのを待つしかない、とため息をつく。 カラカラ卵の殻は丈夫で割れることなど滅多にないが、それでもビーブレビーが暴れて穴を開ける可能性はゼロではない。 そんな恐怖心を腹に抱えながらも、これ以上みっともなく泣き叫ぶのも恥ずかしくてシスは何とか平常心を努めていた。 心が落ち着いたせいか、愛液の分泌も終わりつつある。 シスは現状から逃れるため、足の間にいるマオを挟んで上体を起こすと、四つん這いになって彼の下衣に手をかけた。 「もういい、口でする。それで今日は終わりにしたい」 「え、ちんこ突っ込まれたいんじゃなかったのか?」 「そんなわけがあるかっ。なぜ僕が望んでいる前提なんだ!」 不思議そうに瞬きするマオに噛み付きながら、シスは下着の中で緩く持ち上がった逸物に触れると、唾液を含ませながら咥えこむ。 手慣れた動きで刺激を与えると、逸物はすぐに硬くなり口の中を圧迫した。 ぬろっ、ぬぶ……じゅぼっじゅぼっぢゅぶぢゅぶぶっ、ぬろ〜〜……っ。 目的は体内に残っているローターから解放されることだ。 マオが満足するよう、シスはあえて焦らすような動きで快楽を与えてやる。竿をしゃぶり、亀頭を吸い上げ、指で根元を扱きあげる。イきそうになれば動きをゆるやかにし、加減に気を付けながら快感が長引くよう努める。 「んんっ、んっ、ふっ……んっんっ」 先走り汁でまた愛液が垂れてくる。シスはそれを指ですくい逸物に絡ませると、舌を這わせながらマオを見上げた。 どうやらこの行為はお気に召したようだ。細められた目と絡んで腹の奥がじん、としびれる。 髪を梳く指が耳をくすぐり、愛撫する。 シスは懸命に奉仕を続けた。 「んっ……んっ、んっ、んっ」 「あー……すっげえ可愛い。なんかもう今日は口でいいや」 その言葉に、シスは心中でガッツポーズをした。 頭を撫でて吐息をこぼすマオに内心で勝ち誇る。だがそれを悟られてはいけない。絶頂が近いのか、マオの腰がもぞもぞと動く。 そろそろ一度射精まで導いてやるべきかと、吸い上げを強くした時だった。 「なぁ、フェラ続けながら自分で後ろ弄って取り出して」 「ふんぅっ!?」 意図しないカウンターにシスは思わず逸物を噛みそうになって、慌てて口を開く。 「入れたのは貴様だろう!?」 「えー、だって動かないし、もう飽きたから面倒臭い」 退屈そうな顔でそう言うマオは、もう感心がないようだ。 早く続けろと竿で顔を叩かれ、シスは唇を噛みしめながらそれを握った。 「……分かった。後でする」 そう言って口を開くが、乱暴に髪を掴まれ顔をしかめる。 見上げれば、先ほどまでの甘い表情から一転、冷たい視線がシスへと向けられていた。 「しゃぶりながら出してって言ったよな?」 「っ、別に後でも構わないだろう」 「やだよ。フェラしながら自分でケツ弄ってるお前が見たいんだもん」 睨みつけるシスに、マオが本音をあっさりとこぼす。 どうせろくでもない理由だろうと思っていたが、あまりにも自分本位な要求に、シスは思わず呆けてしまう。 やはりこの男はクズだ。彼への評価を見直していただけに、その結論にどうしようもない虚しさを感じる。 一層、魔王であれば切り捨てられるのに。 そんな胸中を知らないマオは、固まるシスを怪訝な顔で見た。 「早くしろって、萎えてくるだろ」 「……一番虚しいのは、こいつがクズであることを納得して受け入れてしまう自分だ」 「なんて?」 漏れた呟きは、マオの耳に届かなかったようだ。 首を傾げる姿を睨みつけたシスは、無言で逸物を含むと愛撫を再開させる。 何か言いたげな視線が刺さるが、口淫に集中することで気付かないフリをした。 「んっ、んぅ、んっ」 徐々に募る苛立ちのまま、湿った孔に指を這わせる。何度も弄られているそこは、一度も自分で入れたことがない。 シスは尻を少しだけ持ちあげると、躊躇いながらもゆっくりと人差し指を沈めさせた。開発された内部はあたたかく、新たな異物に反応して収縮を繰り返している。 少し進めば爪先にローターが当たった。しかし、すぐに指で掻き出そうとするも上手くいかない。 慣れない動きに苦戦していると、マオはシスの頭を掴んで喉奥まで逸物を押し入れた。 「んぅ、ぐっ」 「後ろばっかり弄ってないで口も集中しろよぉー」 そう言ってイラマチオを始めるマオに、シスは苦しさから眉を寄せながら舌を這わせた。 すると、今度は指の動きが止まる。 シスはこの状況から早く逃れたい一心で、指をもう一本中へと突き入れた。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |