03


   ◆◇◆



 肩で荒い呼吸を繰り返しながら、シスは突っ伏した顔をのろのろとあげて振り返る。
 行為を続けながら状況は説明したが、理解が追い付かないのか、怒りよりも困惑の方が強い。

「マ、マオ、一体、どういう――」
「うーん、AAランクのアビリティは……とりあえずヤってみりゃ分かるか」
「は!?」

 すっかり元の調子を取り戻したマオは、話など全く聞いていない。ステータス画面を見て子供のような笑顔を見せている。
 顔をひきつらせるシスは、思わず後退った。
 しかし腕を掴まれ、強引にひっくり返されると、仰向けになった体にまた逸物が挿入される。

 ぐっ……ぐぷっ、ぬぷぷぷぷっ。

「ぁひっ!」

 目が覚めてから、何度行為を繰り返したか分からない。
 シスにとっては、気付けば行為が始まっていたようなものだ。
 続きは起きてから。
 そう言ったのに、何故彼は約束を反故にしたのか。
 昨日は優しく見えたが、今日のマオはいつもの暴君ぶりが戻っている。自分本意で動き、シスを蹂躙する姿は、飢えた獣のようにも見えた。
 おかげで下半身の感覚は鈍く、内腿は痙攣が止まらない。
 達することも出来ず、奔流に押し流されるような行為に理解が追い付かず、快楽も苦痛も何もかもが置いてきぼりといった状況だ。
 決して気持ちいいとは言えたものではない。

「も、もう魔力は回復……――え?」

 そんな中、また繰り返されようとしている行為に悲鳴をあげたが、シスは鈍くなった下腹部に違和感を覚えて視線を向けた。
 外からでは分からない、内から何かうぞうぞと動くような感覚。
 徐々に内壁が過敏になり、生まれた襞がマオの逸物を包み込んでいく。

「あっ、あ……な……ぁ? こ、れぇ……」
「ちょ……やば、すっげ」
「は、ぁ、ぁ、あ――! あっ」

 はくはくと口を動かして目を見開きながら痙攣するシス。
 マオはすぐにでも射精しそうな自身を必死で堰き止めた。
 目の前の男の体が変化していく。うねる内壁は、覚えのある感覚を与えてくる。

「あー……これ知ってる、めっちゃ安心する。ははっ、そうか。変化ってこういうことかァ……」
「はっ、はぁっ、あ、あ……っ」

 懐かしさに小さく笑うマオとは反対に、シスは両手を宙に彷徨わせて、びくびくと膝を震わせている。
 目尻に涙を浮かべ、言葉にならない声をあげながら、自分に起きた変化を受け止めきれないでいるようだ。
 AAランクになり、新たに獲得したアビリティは内壁変化。
 排泄器官であるその箇所は、オナホールとしての性能をより一層高めるため、限りなく女性に近い構造――つまり、疑似的だが膣に変化したのだ。
 元の世界で複数の女性と関係を持っていたマオにとってはよく知るものだが、シスは当然女性器としての感覚など体験したことがない。
 そのため今までとは違う新しい快楽に翻弄され、何度か軽く膣だけで達しながら意識を飛ばしかけていた。
 痙攣しながら虚ろな目を見せるシスを抱え上げながら、マオが怪訝な目を向ける。

「おーい、生きてるか?」
「ひっ! う、うごく、と……っんん!」

 体勢が変わったことにより中を抉られ、シスは仰け反りながらオーガズムを迎える。
 筋肉が収縮し、全身に響き渡る痺れを逃すことが出来ないのか、口を開閉させながら両腿でマオの体を強く締め付ける。同時にマオが射精し、出された体液を膣は喜んで受け止めた。

「うそだぁ……」
「あっ、んあ、な、なかぁ……」
「いや、だってお前が締めるから」
「だ、からといって、ぇ……ぁ」

 マオに背中を支えられながら軽くイき続けているシスに苦笑が漏れる。様々な女性と経験を重ねてきたが、これほど反応がいい相手は見たことない。
 おそらくシスが女性としてのエクスタシーに慣れていないせいだろうが、挿入だけで達するのだ。
 セックスは互いの性的興奮が高まるほど受け取る快楽も大きい。
 つまり、シスの疑似的な膣は、今までのどの女性よりも気持ち良かった。彼の口調を借りるなら「ヤバい、これめっちゃ最高のエロマンコじゃん」だ。

「なあ、ちんこ復活したし動いていい?」

 マオは、蠢く膣に刺激されてすぐ復活した自身を確認しながら尋ねる。
 普段の彼なら聞く前に動いていただろう。元が元だけに分かり辛いが、確かにマオの人間性は成長している。
 しかし、シスは首を振りながらへにゃりと眉を下げて言った。

「んっ、む、むり……むり、だ……っあ……しぬ、ぜった、いしぬ……」

 かすれ声が彼の限界を物語っている。
 止まらない絶頂に何度も震えているし、いつもの毅然とした姿は見る影もない。服は三日間着替えさせることもしなかったので、汗と体液と泥でぼろぼろだ。
 乱れた髪、清潔とは言えない身なり、その下で露出させマオを受け入れる下半身。
 人には見せられないような酷い有様のシスだが、マオはその姿にどうしようもなく嗜虐心をくすぐられ興奮していた。
 怒りも悲しみも忘れて情けない表情を浮かべるその顔に、マオは半眼を向けて腰を小さく揺さぶる。
 それだけで、シスは大げさなほどに跳ねる。


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(C)siwasu 2012.03.21


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