◆◇◆ 「なかなか回復しねえな」 プラントーブの一件から三日目の朝。 何度かうっすら意識は浮上しているものの、シスはずっと眠りについたままだ。 流石に何も飲まず食わずは衰弱しかねないと揺すって起こしてみたが、唸り声をあげるだけで目を覚ます気配はない。 ステータスを見ても状態異常はない。しかし、休んでも魔力値が回復する気配はなかった。 飲食は本人が起きてくれないことには与えようがない。 元の世界では点滴という手段もあるが、こちらではそのような技術などないし、口移しで少量の水分は与えているものの、所詮は気休めだ。 おまけに、マオの唾液が規定値に達すると愛液が作られるので効率が悪い。 お手上げな状況に、マオは自棄になってシスを蹴りつけようとして――やめた。 こいつは何も悪くない。悪いのはプラントーブだ。 そこにマオの容赦ない仕打ちが現在のシスを作り出しているのだが、本人にその自覚はない。ただ今はプラントーブへの苛立ちを募らせている。 呼吸はしている。ステータスは魔力値以外正常だ。 なら、何故シスは回復しないのか。 マオは、シスの個人ステータスとアイテムステータスを横に並べて、画面を交互に睨みつけた。 現在、シスの個人レベルは86の魔術士、アイテムレベルは昨日一つ上がって73のAランク。魔力値以外、数値に大きな変化はない。マオは顔を近付けて、一つずつ丁寧に確認していく。 そして、二日前覚えたばかりのアビリティに目を止めて、それに触れた時だった。 アビリティの斜め上に、小さなポップアップが現れたのだ。 「こんな仕様があるなら説明しとけよ……」 そうぼやきながら、書かれた文字を読み上げる。 そして、納得したのか頷くと、おもむろに自分の下衣を寛げて性器を取り出し、それを目覚めないシスの口に押し込んだ。 シスは現在、人間でありながらアイテムという、特殊な立場にある。本来なら魔力値は生命力だ。病気や怪我などで変動し、加齢と共に低下していく。 つまり今回のような状況だと、十分な睡眠をとり安静にしていれば、徐々に回復していくものなのだ。 だが、今のシスはアイテムでもある。 しかも、オナホールというアダルトアイテムだ。 今までは口淫のみだったが、現在はAランクになり、膣の代わりとしての役割も果たすようになっている。 では、オナホールとしての魔力、すなわち生命力とは何なのか。 道具は、正しい方法で使用してこそ道具として輝ける。オナホールは、持ち主の性欲を満たすことを目的として作られている。 つまり、マオがシスで性欲を発散させれば、生命力は戻るはずなのだ。 「って、意味で合ってるよな」 シスの口を指でこじ開け、まだ柔らかい性器をねじ込みながら、マオはポップアップに書かれた説明を思い出す。 とはいえ、ここでシスが目を覚ました場合、うっかり噛み切られる可能性もゼロではないので油断はできない。実際、口淫を始めた頃は寝込みを狙って酷く叱られたものだ。 卑怯な真似をするなら容赦なく噛み千切る。して欲しいならちゃんと言え。拒絶しないから、貴様も誠意を見せろ。 そう言われたので、マオは気分になったらすぐに頼った。 シスも状況と場所を弁えろと怒りはするが、拒んだことは一度もない。 この行為は、彼を裏切ることになる。 マオはその罪悪感に躊躇うも、すぐ頭を振って自分に言い聞かせた。 「いやいや……これは治療、そう、そうだ。治療だから……治療だから、な?」 反応が無いと分かっていても呼び掛けてみる。シスは、相変わらず瞼を下ろしたままだ。 だが、口はもごもごと動いている。 マオの性器を受け入れ、舌が探るように竿を舐めた。おそらくアイテムとしての特性だろう。無意識に唾液を含ませ、生暖かい口腔が愛撫の準備を始めている。 それに刺激されて、徐々に大きさと硬さを持ち出したマオの逸物は、数秒後にはいつもの臨戦態勢を整えていた。 シスは眠ったまま、唇と舌だけを動かして懸命に口淫に励んでいる。マオは腰を動かすと、小さな抽挿を繰り返した。 にゅく……にゅこっ、にゅこっにゅこっ。 釣られたのか、自然と唇を窄め歯を立てないよう喉奥まで受け入れる様子に、マオは乾いた笑みをこぼす。 「これ、絶対シスに黙っとこ」 オナホールとして成長している姿は、ここまで育ててきた分感動すら覚えるが、本人が知れば発狂しかねない。 楽しむのが目的ではないので、何度か擦りあげ相手の動きに合わせると、そのまま奥に向かって精を吐き出す。 こくりこくりと動く喉を確認して、マオは開いたままのステータス画面に視線を向けた。 マオの行動は間違っていなかったようだ。 魔力値が目に見えて分かるほど回復している。 「ん、ん……」 シスの瞼がひくりひくりと動く。 マオは気付かれる前に引き抜こうとした。しかし、それを許さないとばかりに唇は逸物を挟み込む。 「ちょ……っ」 半分ほど外に出ていたマオのものは、徐々に口内へと戻っていった。頬の内側で亀頭を刺激し、竿を舌の先で押すように擦りあげられる。 ここまでされて喜ばない男はいないだろう。 すぐに硬さを取り戻した逸物を美味しそうにしゃぶりながら、今度はシス自身が首を動かして射精へと導いていく。 時折うっすらと目が開けられるが、意識があるのかないのか判断がつきにくい。 マオは大きく肩を落として、最悪の可能性を受け入れながら、シスの頭を掴み揺さぶった。 その顔は、この三日の優しさが全て消し飛ぶほどの下卑た笑みを貼り付けている。 「そうだよな……治療だったら、仕方ないよなァ。そもそも、お前が自分から咥えたんだから合意だろ、後で文句言うなよ」 三日間。マオにとっては苦行のような三日間だった。 シスへの想いを自覚し、その好意のみで自分の欲望を耐え続けてきた。 シスが聞けば「どこがだ!」と顔を真っ赤にして怒りそうだが、根がクズのマオにしては、相当努力した方だ。 しかし、そんな努力も三日が限界だったようだ。 度重なる据え膳のお預け。おまけにようやく達した昨日はみこすり半という屈辱的な結果に、マオの欲求は解消されないまま鬱憤を溜め続けていた。 こうして二度目の口淫を終え、すっかり愛液で濡れそぼった臀部に容赦なく逸物を挿入したころ、ようやくシスは目を覚ましたのだった。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |