「ほら、しっかり股閉じて動けよ」 パシイィィン! 「ひっ、ん!」 突然、露わになった臀部に平手が落ちてくる。シスは食いしばった歯の間から悲鳴を上げた。だがマオは、心地良い音と反射的に締まった臀部が気に入ったようだ。そのまま両手でシスの尻たぶを鷲掴みすると、餅のようなそれを揉みしだく。 「ンッ、う」 「シスって服着てると目立たねえけど、尻デカいよな」 「うっ、ううう、うるさい!」 下半身のふくよかさについては、よく親兄弟からからかわれてきた。シスは、コンプレックスでもある部分を指摘されて顔を赤くさせるが、マオが尻から手を離すことはない。 「めちゃくちゃ柔らかいし、すべすべだし……赤ちゃんのケツみてえ」 「失礼な男だな! これでも鍛えてッ……くそ、そ、そんなことしてる暇があっ、るなら、さっさと出さぬかぁ……ッ」 どれだけ力をこめて抵抗しても、解すように揉まれては意味がない。しばらくすると、白くもっちりとしたシスの双丘は徐々にその奥の孔を晒され、指の腹が近付いてきた。 「ひッ、マ、マオ……ッ」 「触るだけ、触るだけだから」 「信用できるか!」 「まあ? お前がもっと股締めて腰振ってくれたら、気持ち良くて俺も集中できんだけどナァ」 「ぐっ」 マオの言葉にシスは言葉を詰まらせる。 股の間を通る感触で薄々気付いていた。動き続けているものの、マオの逸物が萎みかけているのだ。やはり、決定打にかける刺激がないのが原因だろう。 アダルトアイテムとしてのシスは、対象者を射精に導いてようやく経験値が手に入る。過去に口淫が中断した(マオが寝落ちした)時は経験値が入らなかったため、確認は取れている。 つまり、ここでマオを射精することができないと、素股は無駄骨に終わってしまうのだ。 それは何としても避けなければならない。 恥を忍んで下半身を露出させ、股間に逸物を挟んでいるのだ。 萎えさせてはなるものかと、シスは内股に力を入れ、腰を振り始める。波打つ快楽は、脳内で高度な術式を組み立てることでやり過ごした。 積極的な動きにマオも満足しているようで、徐々に逸物が硬さを取り戻す。しかし、手の動きが止まることはない。親指で双丘を割り開き、孔の際を撫でられる。 ぱちゅっ、ぱちゅっ、もみもみ……ぱちゅんっ。 「ひっ、あ……んぅッ」 同時に前と後ろを刺激されて、流石のシスも力が抜けてしまう。 緩む股にマオは容赦なく平手を打つが、慣れない動きで疲れを見せ始めたシスは、ついに動きを止めてしまった。 「おい、もうちょっと頑張れよ」 「だ、めだ……少し休憩を」 「ええー! 俺も動いてやってんだぞ」 「…………」 何故そこまで上から目線で語れるのか。 振り返るとふくれ面が目に入り、思わず半眼になる。 だがマオは中断する気がないようで、落ちたシスの両腕を掴むと、もう一度幹へと固定させた。 「なにを……」 「そういえばシス、小便するつもりだったよな。出すもん出したらスッキリして動けるだろ」 「はぁっ!?」 こんな状況だ。尿意などすっかりどこかへ過ぎ去っている。 なのに、マオは遠慮なく下腹部を押しながらシスの性器を扱き始めた。 「や、ちょ、待てっ」 意図を持った刺激に、忘れていた尿意がぞくぞくと背筋を駆け上がってくる。思わず股に力を入れると、挟んでいたマオの逸物がびくりと跳ねた。 「ほら、やればできるじゃん」 「ちが、あ、あッ、たのむ、やめてくれ……っ」 マオの動きが再開される。腹を押され、逸物を擦り上げられ、後ろからは亀頭で性器を突かれる。 堪えようのない尿意に、シスは目尻に涙を浮かべながら唇を噛み締めた。 王族である自分が人前で漏らすなどあってはならない。排尿を人に見られるわけにはいかない。そう考えていても、返ってきた尿意は無慈悲に尿道を伝ってくる。 「ん、んンッ、んぅっ、ふっ」 「我慢すんなよ」 にゅこっにゅこっ、ぐりっ、ぱちゅんっ。 三か所から同時に与えられる刺激でシスの柔らかな性器が小さく震える。 どうしようもない限界は、ついにその堰を切ってあふれ出した。 「あ、い、やだっ、あ、あぅ、あぁァッ」 プシャアァァァァァァァァァッ! マオの手に支えられながら、弾けた黄色の体液は弧を描いて目の前の幹へと飛ぶ。我慢していた分勢いよくあふれたそれは、しばらくして徐々にその威力を弱めていった。 シャアアァァ……ちょろちょろ、ちょろ……。 アンモニア臭が漂い始めるその空間に無言が続く。 肩を震わせさめざめと泣くシスは、もう怒る気力すらないようだ。幹に手をついたまま、俯いて動かない。 「う、うぅっ、うっ」 「ほら、これでスッキリしたんだから頑張れるだろ」 だが無慈悲にもマオは、項垂れるシスの尻を叩くと腰を動かし始める。むしろ、泣いているシスを見て逸物を張り詰めているぐらいだ。ここまでくると、シスは逆に笑うことしかできなかった。 この男相手にプライドや体裁などはゴミ屑でしかない。ならば一層捨ててしまえばいい。そして、全てが終わった後に清算すればいいのだ。 (よし、全てが終わった後でこの男の記憶を消そう) 記憶消去は禁忌の魔術である。しかし、それさえも厭わないと思えるほど、シスの決意は固かった。 「……分かった、貴様の情熱には完敗だ。好きなだけこの身を使うがよい」 「え、ケツに突っ込んで――」 「いいわけがあるか! スマタとやらで貴様の性欲を発散させてやるという意味だ!」 とはいえ、流石にそこまで踏み切ることはできないようだ。 結果、腰の動きと内腿に入れる力加減を上手くコントロールして、シスは見事マオを素股で射精に導くことに成功した。 そして口淫の倍以上の経験値を得たことで、五回目にはBランクへとランクアップ。アイテム称号欄にはフェラマスターの下に素股名人の文字が並ぶこととなった。 「どうだマオ! 僕の内転筋を思う存分堪能し、無様にその性欲を吐き出すがいい!」 「お前って顔はいいのに、ちょっとズレてるよな」 ちなみに、自棄になったシスは、これ以降マオの前でも平気で用を足すようになったらしい。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |