会長×不良[R18]



襲い受け注意。ヘタレ×男前。



「サープライズド金木犀」

 誰だって好きだけどこれだけは勘弁してくれってことがあると思う。特に性の趣味とか。
 彼女が急に「ちょっと縛ってもいい?」って縄持って言い出した時「うん全然オッケー☆」って答えるノーマルな男はいるか?いないだろう?
 かといって彼女が嫌いな訳じゃない。大好きだ。けれどそれとこれとは話が別な訳で、つまり何でこんな例を持ち出してきたのかというと、

「ちょ、ちょっと待て、落ち着け。…よく話し合おう。俺は男だ。しかも女みたいな奴ならともかくこんなナリだ。どう考えてもおかしいだろ?」

 俺のケツの貞操が危機に晒されているからだ。
 ちなみに恋人も男なので竿を穴に入れるという意味では真っ当な行為と言え…るか?

「グダグダ言ってんじゃねーよ、そんなお前に勃起すんだから仕方ねーだろ」

 そう言いながら俺を見下ろす恋人、佐野(さの)は学園一男前で強くて格好いい不良だったりする。
 いかにもな見た目をした佐野にマウントポジションを取られ、図体こそそれなりにデカいものの大した護身術もしてない俺は、このまま殴られようが掘られようがろくな抵抗など出来ないことぐらい分かりきっていた。
 だからこそ今の説得が重要だ。これが失敗すれば俺は童貞非処女になってしまう。それだけは勘弁してくれ。

「せっ、せめてちゃんとした場所でだな…!」

 そう説得をしている場所はシンプルな作りをした仮眠室だった。
 窓からは木が見える。金木犀だ。俺はあの匂いが苦手なのでこの時期は常に窓は閉めっぱなしにしている。そのせいで換気が悪いとよく副会長に怒られていた。
 そして角に主張している扉。あの扉の向こうは広めの作業場、メインである部屋に繋がっている。本来ならその部屋に設置された机に向かい生徒会メンバーが各々の業務に取り掛かっているのだが、今日は既に業務時間が終了し皆それぞれの寮部屋に戻っていた。
 つまりこの生徒会室にいるのは、仕事の遅い過去一番の木偶の坊と呼ばれている俺、生徒会長の和泉(いずみ)とベッドの上で俺を不敵に見下ろす佐野の二人きりしかいない。
 背中から嫌な汗が流れるのを感じながら、俺は佐野を見つめた。真っ直ぐ見つめる佐野に少し胸がときめくのはあれだ、佐野が格好いいのが悪い。

「お前ちゃんとセッティングしたら逃げるだろーが。だからこんな所まで押しかける羽目になったんだからな?」

 そう言って近付く顔にギクリと肩が強張る。
 だって怖いじゃないか、童貞にいきなり処女喪失なんてハードル高いこと。お前は女遊びになれてるだろうから平気かもしれないけど。

「いや、でもな、俺…初めてでな、」

 俺は必死で説得を続ける。
 息を吐きながら頭をかく佐野は、一瞬目を遠くに泳がせてから俺を見つめた。

「…安心しろ、俺も初めてだ。確かに最初はちょっと痛いかもしれねーが愛があれば何とかなるだろ」
「あれ?お前も初めてなのか…?」
「は?当たり前だろ。男相手にすんのはお前が初めてだけだからな」

 あぁ、確かにアナルセックスなんて普通したことないか。そりゃ初めてになるだろうな、男にはそれしかないんだから。
 そういえば通常のセックスとアナルセックスは似ているようで違うと聞いたことがある。
 けど佐野なら初めてでも上手そうだよなぁ…と思っていると、ベルトに手をかけられて慌ててそれを制しながら口を開いた。

「お、おい…っ」
「うっせーな。いいから大人しく下で喘いでろよ、全部俺に任せてりゃいいから」

 そう言いながら遠慮なく下半身を男らしくさらけ出す羽目になって色気もへったくれもない。
 俺は胸でアーメンのポーズを取りながら覚悟を決めるかと唾を飲むと、下半身に生温さと刺激を感じて思わず体を揺らした。

「な、ななな、何して…っ」
「勃たなきゃ出来ねーだろうが」
「も、勿論それはそうだけども…!」

 下半身に視線を向けると、何と佐野が俺のぺニスをくわえこんでAV女優のような口の動き…あぁ、つまりはフェラチオをしてたのだ。なんだこれは新手のイジメか。

「手コキ、でいいだろうがっんなも…っあ、っ!」

 佐野の髪を引っつかんでみるがすっかりこいつの口に翻弄されて膨張しているペニスが俺のまともな思考を奪っていく。
 それでも反射的に抵抗を見せれば、佐野は口を離して眉間を寄せながら俺を見つめた。

「いや…なのかよ」
「うっ」

 その目が捨てられた子犬のような寂しげなそれにダブって見えたとか俺はこの状況で何を考えているのだろうか。

「い、いやじゃ…ない、けど」

 そのせいで咄嗟に出た言葉はさっきまでの拒絶を覆すようなもので、佐野は「じゃあ問題ねーだろ。お前は大人しく感じときゃあいいんだよ」とまた俺の半勃ちのペニスをくわえ始めた。
 あぁ、俺のばか馬鹿バカ。これから何されても、もう拒絶は出来ないじゃないか。
 そんな後悔とは裏腹にすっかり逞しく育った俺のペニスは、そのまま射精出来るかと思えば口を離され熱の出し所を逃してしまった。…あれ?

「…もう我慢出来ねぇ。………挿れるぞ」
「えぇっ!?」

 まだ前しか弄ってませんよ佐野クン!お尻!ケツの穴はどうすんだよ!まだガッチガチに固いんですけどまさかそのまま突っ込む気かお前…!

「あ?もう十分だろ」
「ひっ、けど、まだ後ろの準備………え?………あれ?お前何で自分のケツ弄ってんだ?」

 俺は流石に痔になるのは勘弁だと上半身を起こした。
 ら、何故か佐野が自分のケツに指を突っ込んだかと思うとバイブっぽいものを抜き出していた。
 あれ、前にキワモノAVで見たことあるぞ。確かアナル用のバイブだった筈だ。いやしかし何故そんなものが佐野のケツから出てくるんだ?

「あ?んなもんお前に突っ込まれる準備の為だろ、馬鹿か」

 少し荒くなった呼吸と赤い頬に俺が呆気に取られていると、佐野は俺の上体を手で押しながら倒して上に乗り上がってきた。
 まて、これはどういう状況だ。

「和泉ィ」
「はっ、はひ!?」

 突然低い声が落ちてきて俺は思考を停止させていた脳を呼び起こして佐野を見上げた。
 学園一男前で強く格好いい不良が俺の上で挑発的に笑っている。

「俺の処女やるんだから、責任取れよ?」

 そのまま俺のペニスは佐野のアナルに飲み込まれ、熱に包まれた快楽に思わず喉から搾り出すような声が、漏れた。

「ぁっ、あーっ!ん、ちょ、佐野…っく、あっや、」
「こら、逃げんじゃっ、ねーよ…!」
「だっ、て、ぁ、さ、さの、動かな…っ」
「動かなきゃ出来ねーだろー、がっ」

 言いながら中が締まって、知らない快感に俺は思わず声を荒げた。
 ら、佐野に「お前うるせーよ、黙ってろ」と口を塞がれた。
 あとは佐野が上で腰を振る度に俺がみっともなく泣いて、結局処女は喪失しなかったが童貞はめでたく卒業、しました。





「おい和泉…いい加減機嫌治せよ」
「だっ、だってまさかこんな形でお前とヤっちまうなんて…!」

 ことが終わって情けないことに処女を喪失した乙女のようにシーツにくるまる俺。
 逆にベッドに腰かけ煙草を吸う佐野。これじゃどっちが処女を喪失したんだか…。
 っておいちょっと待て!お前未成年だろ!!

「っあ、おい!」
「煙草は禁止だ禁止!俺と付き合うからにはやめてもらうからな!」

 俺は煙草を取り上げるとシーツにくるまったまま窓を開けに向かい、手を表に出すと外壁に押し付けてその火を消す。
 あー。部屋に煙草の匂いが残っている…これは副会長にバレたら物凄くマズい。このまま窓を開けて金木犀の香りで消えないだろうか。

「…なんでお前童貞卒業出来たのにんな機嫌悪いんだよ」

 そんな心配を余所にふて腐れた佐野が眉を寄せて俺を見る。俺はそんな佐野を睨みつけると、ずかずか近寄って顔を至近距離まで合わせた。
 何だよ、俺だって男なんだからポジション逆って最初から知ってたら佐野の為に色々としてやりたいと思ってたのに。
 お前が学園一男前で強くて格好いい不良だってことは知ってるよ、だけどな。

「俺だってな!お前に格好いい所見せたいんだよ畜生!分かりやがれ!」

 つまりは悔しいんだよ、畜生!

「…何でお前泣いてんの」
「泣いてねーよ!」
「じゃあその目から出てるの何だよ」
「男の汗だ!」

 言いきって余計情けなくなった気がしないでもないが、俺は意地を張りつづけて頬を伝うものをシーツで拭った。
 そんな俺の様子に佐野は苦笑してまだ少し濡れてる頬に手を当てると。

「泣いてんじゃん………あー泣き顔見てたら勃ってきた。もっかいヤろうぜ」
「何でそうなるコラてめー離せ勝手にくわえるな!…うっ」

 …神様。俺がこの学園一男前で強くて格好いい不良に勝てる時は来るのだろうか。
 金木犀の嫌な匂いは、新たなトラウマになりそうだ。
 が、佐野への熱は下がるどころか上がっていく一方だった。



end.



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(C)siwasu 2012.03.21


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