蟲姦[R18]



蟲姦/蛆姦/グロ注意。個人的にはバッドエンドじゃないと思ってたけど世間一般ではこれをバッドエンドと言うそうです。



「蝿男」

 耳障りな音が閑散とした空間を擘くような気分を感じながら二見(ふたみ)は強く閉じていた瞼をゆっくりと開いた。
 古びた小屋のような、湿気を帯びたこの場所に人の気配はない。二見は凝った肩を動かそうとして自分の両腕が後ろ手に縛られていることに気がついた。予想していたような溜息と共に落ちた視線は自分の下半身をその瞳に焼き付ける。情けないYシャツ一枚の姿に露になる肉の落ちた太腿には、緩慢な動きでその上を這い回るものがいた。
 二見は一度目を閉じ、それからゆっくり開いた。呼吸をして、ようやく下半身の神経が脳に到達したのか一度大きく身体を揺らす。跳ねた、の方が正しいのかもしれない。椅子がガタリと音を立ててバランスを崩した。それに固定されていた二見は慌てて体勢を整える。その衝動で何匹かが二見の腿から転がり落ちるが、残ったものはゆっくりとその上を這い回りながら陰茎へと近付いていた。
 二見には状況を把握する余裕などない。何故、という疑問よりも先に眼前に広がる光景を排除しようと必死で両足を動かした。しかし椅子に縛られ不自由な身体は彼の要求に応えることが出来ず、ただ這い回る大量のそれが自身の性感な部位に近付く様を傍観するだけだった。
 ぷつり、という音が聞こえた気がする。ついに一匹がYシャツの影に隠れたのを確認した瞬間、堪えきれないとばかりに二見は股間から暖かい液体を零した。シャツを黄色く染めながら尚も開放される尿意は留まることをしらない。それが幸を呼んだのか、有象無象の集団の内何匹かがまたその液体に滑って転がり落ちた。
 全てを出し切った開放感でゆっくりと息を吐いた二見は、それでもまだ残るそれらの対処について落ち着いて考える思考が作れたかのようにも思える。先程よりも動きが鈍くなったそれをじっくり見ることで蛆に似た虫だと認識した。恋人がこれに似た生き物を愛でていたことを思い出してこみ上げる吐き気を堪えて呑む。
 その間に動きを取り戻したらしい蛆の一匹がまたゆっくりと陰茎に近付いた。慌てて身体を揺するがもう手はない。次こそ辿り着いた蛆が睾丸の上に乗った感覚を覚えて二見は背筋を痙攣させるように震わせた。緩慢な動きは徐々に亀頭へと這い上がる。そして尿道に僅かな痛みを感じた時二見は壊れるように声にならない叫びを上げて意識を飛ばした。

 二見が次に目を覚ましたのは自身の部屋の寝室だった。隣で恋人が心配そうな表情を向けてくるのを視界に入れてホッと息をつく。身体が汗で濡れているのを確認して余程怖い夢でも見たんだな、と笑う彼に返すように笑みを向けて二見は首が上手く回らないことに気がついた。視界の端に夢の中で見たそれが映る。
 次いで恋人の方に視線を上げれば途中で気絶するから、と困ったように苦笑するその動作に二見は目を見開いて身体を闇雲に動かした。先程まで気付かなかった感触が一気に駆け上がる。全身を覆うように這い回る蛆たちが暴れた時の衝動で体重に潰されるのが分かった。嫌悪感と恐怖だけが頭を支配するが、それでも両手足を不自由にされた身体ではそれが限界だった。
 大きく呼吸を吐く二見の横で残念そうな声を上げる恋人がまたゆっくりと新しい蛆を乗せていく。前の恋人はこの子達のお気に召さなかったみたいで、そう呟く彼の言動にあるこの子達、とは身体を這い回る蛆のことだろう。二見とは相性がいいみたいだ、嬉しそうに笑う恋人の笑顔に堪えきれず嘔吐した。洗い流す為に含まされた水も得体の知れないもののように思えて何度も吐き戻した。
 恋人の意図することが分からず二見は困惑した目を向ける。慣れてきたのか麻痺してきたのか、違和感を覚えなくなった身体の感覚にまるで脳も既に犯されているようだと感じた。
 また上半身に新しいそれが増えて満足したのか、うっとりとした表情を向けて二見の下半身を大きく掲げる彼に最後の抵抗だと言わんばかりに上半身を揺らしたが、それだけしか出来なかった。足首と手首が繋がれた状態はまるで転がった達磨のようだ。
 塞がれた口をもごもごを動かしながら、二見は彼の意図することに気付いて必死に止めようと涙を流すが効果はなく、広げられた肛門に筋肉を締めるもゆっくりと二つの指でこじ開けられ、ついに腿を這い回っていた蛆の一匹が気付いたようにその窪みに近付いてきた。
 喉がひゅっと息を呑む。恋人の指が躊躇いがちに周囲を蠢く一匹を促すように押した。それに合わせて、内部にゆっくりと進入してくる感触に、二見は体中のあらゆる全てから溢れ出したかのように体液を零した。鼻水により詰まった鼻腔が無様な音を立てる。
 一匹につられてか臭いにつられてか、蛆たちが挙って後腔に這い寄ってきたがそれを恋人は優しく丁寧にまるで案内するかのように後押しした。一匹、また一匹と内部に蠢く感触を覚える度二見は身体を震わせ、痙攣する。途中からは数を認識するのも苦痛だった。中の蛆が奥へと侵入して、目的のものを見つけたのか集るようにその場が圧迫される感覚はいつ自身が食い破られるのかと考えるだけで恐怖した。
 それでもその場所は恋人の手で慣れていたせいか、それとも恐怖から逃れる為か少なくとも陰茎を半分勃ち上がらせる程にはなっていた。視界に入る自分の姿に信じられないと首を振るが、形の変わったそれに何を反応したのか内部に入りきれなかった蛆たちはゆっくりと陰茎に這い上がってくる。
 地獄のような行為がどれ程続いたのだろう。
 失いそうになる意識を何度も叩き起こされ自分の身体が自分のものでないような感覚に陥ってきた頃、ようやく恋人は満足したのか意味もなく這い回るだけのそれらを払いのけ、立ち上がった自身の陰茎を未だ内部で蠢く蛆ごと突き刺した。圧迫感や快楽よりも先に中で潰された蛆の感触に二見は体中を駆け巡る激しい嫌悪感に背中を大きく仰け反らせた。
 そのまま何度も挿入を繰り返す内に中で潰れたもの達の体液がまるで白濁のように肛門から溢れ出す。異常な性行為はただ淡々と続けられ、合間に何度も愛の言葉を囁く恋人の言葉を耳にしながら二見は崩壊寸前の精神で彼の顔を見上げた。
 蝿の顔をした恋人は嬉しそうに目を細め、微笑んでいた。



end.



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(C)siwasu 2012.03.21


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