01青春探し

 はーあぁ……いい女の子いないかねえ?


 椿ときっぱり別れてから3ヶ月……。
 俺は新しい恋を探している真っ只中だった。


 別に凌ほどモテないわけではなくて、いくらでも選り取りみどりだ。
 それでもピンとくる女の子は誰一人いない。


 綾ちゃんは泣くぐらい、凌にぞっこんだから無理だし……。


 そもそも、教師と生徒では周囲の目もあるから、イチャイチャできない。
 いや、イチャイチャしたいわけではないんだけど、それでもなるべくなら彼女と一緒にいたいのは男なら誰だって思うはずだ。
 それなのに、一緒に過ごす時間が限られるのはあまりにも酷すぎる。


 できることなら、同学年がいいんだけど……。

 ──うん、いないわ。

 となると、後輩か……。


「カズ!」


 名前を呼ばれてはっと我に返れば、足元にボールがやってきたところで勢いよく蹴る。
 そしたら、右ポストに当たり、勢いそのままどこかに飛んでってしまった。


「あっ。やっべー……」


 思いっきし外しちまった。

 怒られる。


 怒られることを覚悟して、監督の方を見遣ったその先、外した俺のボールがグラウンドそばを歩く女の子に向かっていた。
 ボールは女の子の背後だ、気づけるはずもない。


「やべっ、危な──!」


 しかし、俺や周囲の声が届くよりも前に女の子の頭に当たって、その場に俯せで倒れた。


 俺はピッチにいるとき以上の速度で走り、心配してできあがったざわつく円の中に飛び込んでその子に駆け寄る。


 気を失っているらしく、何度声かけを行っても目を開く様子がない。


 俺のせいでこうなった。
 俺が責任を持って、保健室に運ばねば。


 さすがに監督に怒られることはなく、女の子を抱き抱えて保健室に向かった。

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