初任務 1/4
私にとって新しい上司となった中原さんを速くも待たせることになってしまった。
上司を待たせるなんて最悪だ。
『お待たせしました!準備OKです。』
「意外と早かったな。」
『ちゃんと急いだので。任務に行くと分かっていれば、ちゃんと用意してから会いに行きましたよ?』
廊下を歩きながら会話をする。
会ってすぐ色々とあったせいか、固い敬語はどこかに置き忘れてしまったようだ。
今更堅苦しくなる気にはなれなかった。
彼の持つ雰囲気というか、私に対する態度のせいもあると思うけれど。
目的地に移動するために黒塗りの車に移動する。
中原さんを見つけた黒いスーツの男は車のドアを開けて、中原さんが乗り込むのを待っていた。
私はいつものように上司とは別な車に乗り込もうと辺りを見回す。
「おい、お前はもうこっちだ。昨日まではあいつらと同じだっただろうが、今のお前の立場はあいつらより上になったんだ。今までと同じと思うなよ。」
『なんだか妙な感じです。私自身は何も変わってないのに。強くもなれてないし…。』
「お前はあいつらより強えよ、麗南。俺が見込んだんだ。当たり前だろうが。」
『はい。その言葉を信じます。』
車窓を流れる景色は、次第に寂れたものになっていった。
辿り着いたのは廃墟であった。
元はホテルか何かだろうか?
広い敷地と大きな建物。
『私、ここで何をすればいいんでしょう。』
「ん?ああ、そう言えば言ってなかったな。ここに面倒な連中が集まって集会してるらしい。それを潰すだけだ。簡単だろ?」
『こんなに堂々と入り口から入っていいんですか?すぐ見つかるかもですし。』
私達が入ったのは正面の入り口。
私は基本的にスナイパーをやっていたせいで、少し緊張する。
こんなにも堂々と正面突破する日が来るだなんて思いもしなかった。
「相手に異能を使う奴はいないらしいからな。意表をついたりなんかしたら、面白くねえだろ?」
『中原さん、武闘派ですもんね。私、筋肉が付きにくくて体術は苦手なんです。でも、銃の扱いなら負けませんけど。』
「期待してるよ。」
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