初任務 2/4


無駄話をしながら、廊下に敷かれた古びた絨毯の上を歩く。

お陰で足音はほとんどしない。

静かだったこの場所に、微かに人の話し声が聞こえてきた。

廊下を曲がった先の部屋。

入り口付近にあった非常口を示す館内の地図と照らし合わせると、そこは大ホールだろう。


「準備はいいか?麗南」

『ここも正面突破なんですね。』


そう言って笑いながら、大丈夫ですと答えた。

一丁の銃を握りしめて、中原さんの後に続く。

入り口の見張りであった二人の男は、悲鳴を挙げる暇もなく中原さんに気絶させられていた。


『もしかしてこれ、私の出番無いんじゃ…。』

後ろに控えている昨日までは同僚だった彼らも同じ事を思っただろう。

中原さんの強さは凄まじい。

自分など居なくても片がつきそうな気がしてくる。


「ま、後ろの奴等は要らなかったかもな。けど、お前は違う。お前の実力、見せてみろ。」

『…はい!』


中原さんが扉を蹴破ると、中には思っていた以上の人数が集まっていた。

弾は無駄にできない。

一発ずつ確実に当てていかないと弾数が足りなくなる可能性もある。


「はは、面白れぇ。叩き潰すぞ、麗南!」

『了解です!』


中原さんに続いて後ろの男達もホールに走り込んでいく。

暴れる中原さんの辺りから、すごい勢いで敵であった男達が吹き飛ばされては壁に激突する。

中原さんのその動きは、とても綺麗だと思った。

無駄が無くて、素早くて、コートがひらひらと靡いている。

このまま見ていたいけれど、仕事中だから仕方がない。


私は安全装置を外した銃を構えて、いつものようにおまじないをする。


『大丈夫。絶対当たる。一人一発で仕留める。』


こうして言葉にすれば集中力が上がる。

大丈夫、出来る!


私は急所に狙いを定めて引き金を引いた。

聞きなれた大きな音で、悲鳴は聞こえない。

人数が多い分、次の狙いもつけやすい。

ばたばたと敵が倒れていく。

味方も数人ボロボロになっているけれど、死んではいない。

相変わらず綺麗に動く中原さんを少し見て、また銃を撃つ。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -