窓から差し込む朝日の眩しい光で目が覚めた。
目を開けるとそこにはいつもの見慣れた天井が目に入った。
脇にある時計に視線をやると、短針はすでに9に差し掛かろうとしている。
私はまだだるい体を起こすと、髪はぼさぼさ、服装はジャージのまんまであることに気がついた。
「…あれ…寝ちゃってたんだ、私…」
目の前には私が寝入ってしまう前からついていたであろうテレビ画面が、オーケストラの音とともに明滅していた。
画面には赤いバンダナが特徴的な主人公ことエイトが、何時間も放置されたまま退屈そうに立っている。
…状況から判断してどうやら私はゲームをやっている間にいつの間にか寝てしまうという阿呆なことをしてしまったようだ。…そういえば先程まで、何か夢を見ていたような気がする…のだが、その記憶は夢特有の曖昧さの中に消え、思い出そうにも何かが突っかかるように思い出せなかった。
思い出せないものを必死に思い出そうとしてもただでさえ冴えない頭を酷使するだけなので、思考を止めて私はもう一度目の前のテレビ画面を見やる。
ドラゴンクエスト8_。
先月発売されたばかりのもので、息抜きにちょうどいいかな…なんて買ったはいいものの、RPGなるものを始めてやる私は、セーブの仕方を知らずにゲームオーバーになり最初からやり直しになったり、味方が瀕死状態なのにほっといて全滅してしまったりと、プレイ時間とストーリーの進み具合が全く比例しない、まぁ要するにドがつくほどのゲーム音痴だった。
それでもめげずにプレイしているのは、なぜだろうか、きっと何か惹かれるものでもあったのだろう、やっとのことでオセアーノン…だったっけ?の巨大タコさんを倒したばかり。
とりあえずエイトをこのまま放っておくのはいくらゲームの中の人間であれどもさすがにかわいそうなので、一旦セーブすることにした。
…それにしてもいつ見てもこのフィールドの景色はきれいだなぁと思う。一緒に流れる音楽と相まって、見るものにどこまでも壮大な風景を感じさせるような、そんな美しさがこのゲームには時々あった。あぁ、こんな世界に私も行ってみたいなぁー、なんて何気なく呟いてみた時
___こちらの世界に、来てみたいですか?__ならば、心のなかで願うのです。
ふいに、頭の中でキン、と響くような声が聞こえた。
何か聞き覚えのある声のような…ううん、どこか懐かしさを感じさせるような…そんな声で、私はその言葉に導かれるように、できることならあの美しい世界に行ってみたい、そう強く願った。
自分でも何故だかはわからないけれど、この声になら任せてもいい、そう思ったのだ。
すると、私の足元に、ふわりと、一枚の羽が舞い降りた。透き通るようでいて淡い紫の、優しい光を内に灯した羽だ。
その羽根は最初から意図していたかのようにゆっくりと私の手の中に収まる。
「わぁ…、綺麗………。」
私は今まで見たことのないような程綺麗なその羽根にうっとりと見入っていると、今まで淡く光っていただけの光が、急にまばゆく光を発した。
「わわっ、な、なんだなんだ!?」
一体何が起きたのか、そんな事を考える暇もなく、私の体は白く輝く光に包まれていった________。
夢の中の夢の夢 気がつくと、私の体は真っ白な空間に立っていた。
周りをぐるっと見渡してみても、白い空間は遥か向こうまで広がっていて、辺りには人っ子一人いなかった。
ここは一体どこなんだろう…
ついさっきまで私は自分の部屋にいたはず……
とりあえずこのままここに立っていても何も変わらないと思ったので、私は少し歩いてみた。
歩いてみるとなんとなく分かるのだが、道という道も無ければ、地面もどこにあるのか分からないので、歩く、というよりは、空を泳ぐ、というような感覚だった。
どのぐらい歩いただろうか、しばらくすると、私の目の前に、いきなり紫色の光が現れた。
さっきこの空間にくる前に見た一枚の紫色の羽と同じように、優しく光る淡い紫色だった。
「また、この光だ……」
形こそ違うものの、その光はとても優しげで、どこか神秘的な雰囲気を纏っている。
… そっと手を伸ばしてその光に触れると、光はまばゆいほどに輝きを放ち、その眩しさに目を閉じた瞬間私の意識は遠くに溶けていった_____。
今回はかなり短めです(汗
このまま続けると場面がコロコロ変わって読みにくいかなと思ったので(←言い訳 笑
まぁ1,2話はリアンちゃんの夢の中のお話だったいうことで夢オチで逃げますw
ちょいと長すぎましたが。
というかこの小説自体読んでくれている方どの位いらっしゃるのでしょうか?
まぁこんな更新も遅いのに多いはずが無いですよね(笑)
もし読んでくださっている方拍手からでもメルフォからでもご感想いただけると管理人舞い上がりますw
ではでは、また次回!
(2012/10/5)
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