ロング | ナノ



Act.6 *朝食*





デイダラ「う〜ん…。」



あ〜…、眠い。

今何時だぁ???


しょぼしょぼする目を擦り、枕元にある時計に手を伸ばした。



デイダラ「8:30…。まだ眠れるな、うん。」



二度寝をしようと布団の中に頭を埋めた瞬間…



―コンコン!!!!ガチャ!!!



サソリ「デイダラー!!!!起きろ!!!」

デイダラ「う〜ん…。こんな朝早くから何だよ???うん???」

サソリ「リクの服の買い出しとかするから早く起きろって、てめーが言ったんだろうが。」

デイダラ「………。(ヤベ、忘れてた。うん。)」

サソリ「せっかくの非番に早起きしてやったてェのに、忘れてたんじゃねェだろうなァ???」

デイダラ「わ、忘れてるはずねーだろ???うん。」



旦那は小さな溜め息をついた。

多分、オイラが忘れていた事なんて本当は分かっているのだろう。



サソリ「…フン。さっさと支度してリビングに来い。」



旦那はそれだけ言うと部屋を出て行った。

オイラはベッドから出ると急いで身支度を始めた。

旦那は待たせると不機嫌になるからな。うん。



デイダラ「あれ???マントが無いぞ!???うん!????」



部屋の中をバタバタと駆け回り探すのだが見当たらない。



デイダラ「何で無いん…あっ!!!昨日リクに貸したんだった。うん。」



すっかり忘れてた。

部屋の中を見渡すと泥棒でも入ったんじゃないかと思えるほど散らかっている。

片付けて行きたいところだけど…



デイダラ「これ以上待たせると旦那に叱られる…、うん。」



オイラは駆け足でリビングへと向かった。



―ガチャ!!!!



リビングに入るや否やバターの香りが鼻を擽る。

良い匂いだなと思ったのもつかの間…



サソリ「遅い…。」



テーブルに肘をつき、オイラに鋭い視線を向ける旦那。



デイダラ「だ、旦那。ごめんよ。」



オイラは手を合わせて謝ると旦那の横の席に座った。



サソリ「支度くらい、さっさとしろよ。」

デイダラ「ごめんって。うん。」



―コトン



目の前にコーヒーを置かれ、オイラは視線を旦那からそちらに向けた。



デイダラ「鬼鮫の旦那ありが…うん!???リク!???」

『デイダラおはよう!!!』



ニッコリと満面の笑みで笑うリク。

心臓が思わずドキッと跳ね上がった。



デイダラ「お、おはよう。リク起きてたのか???」

『うん。目が覚めちゃってね???』

鬼鮫「デイダラさん、おはようございます。」

デイダラ「あ、おはよう。」



鬼鮫の旦那がスクランブルエッグやウインナー、サラダにパン等を乗せた皿を運んできた。



デイダラ「お、旨そー!!!!サソリの旦那、食べようぜ♪」



オイラは早速スクランブルエッグに口をつけた。

口に広がるバターの香り。

卵はふわふわしとしていて、口の中でとろけそうだ。



デイダラ「鬼鮫の旦那、腕上げた???今日のはいつものより旨いぞ!!!うん!!!」



その言葉に鬼鮫はクスリと笑った。



鬼鮫「今日はリクさんが作ってくれたんですよ。」

デイダラ「へぇ〜、料理上手いんだな???」

『そんな事ないよ。でも、嬉しい!!!ありがとう!!!』

サソリ「確かに鬼鮫が作ったのより数倍旨いな。」

デイダラ「うんうん。」

鬼鮫「…ちょっと、悲しくなって来ました。」



落ち込み気味の鬼鮫の姿にオロオロとし出すリク。



『あの、えっと…。鬼鮫の方が美味しいと思うよ!!!!あっっ!???…食べた事はないけど!!!』

鬼鮫「リクさん…。」

サソリ「ククク。フォローになってねーぞ???」

『え!???』

デイダラ「むしろ取って付けた感じが余計に傷付くよな。うん。」

『え!???ごめんなさい!!!』

鬼鮫「…いえ、大丈夫ですよ。(謝られると余計にヘコみますね…。)」

デイダラ「だから墓穴だって。うん。」

サソリ「ククク。」

『えぇ!???あたし、どうすればっっ!???』

鬼鮫「ワタシは大丈夫ですから、落ちついて下さいね。」

『で、でも!!!!』



あたふたとしているリクが面白くて、オイラ達はゲラゲラ笑った。

こんなに楽しい朝ご飯は久しぶりかもしれない。

うん!!!!





**********





遅れて起きて来た他のメンバーの食事も終わり、片付けに取り掛かる。

今まで自分1人分の洗い物だったから、随分多く感じる。

普段は鬼鮫が1人で家事をこなしていたらしい。

本当にビックリだ。

漫画の中では想像も付かない姿に思わず笑ってしまいそうになった。



鬼鮫「リクさんが手伝ってくれて、本当に助かります。」

『このくらい、やらせてください。』

鬼鮫『クス。ありがとうございます。』



洗い物が終わり一段落した所にデイダラがひょっこり顔を出した。



デイダラ「終わったか???うん???」

『うん。今ちょうど終わった所だよ。』

デイダラ「じゃあ、木ノ葉に買い出しに行くぞ。うん。」

『え!???木ノ葉に!???』



木の葉って!???

あたしの読んでるNARUTOの世界観と一緒なら、不味いんじゃないの!???



デイダラ「どうした???うん???」

『暁と木ノ葉は敵同士だよね???その…、大丈夫なの???』

デイダラ「大丈夫って???うん???」

『だって、捕まったりし…。』

サソリ「遅ぇっっ!!!!」

デイダラ「だ、旦那!???」

サソリ「オレは待つのが嫌いだって言ってるだろーが。」

『ごめんなさい!!!あたしのせいなんで…』

サソリ「良いから、さっさと来い!!!」



腕を掴まれズルズルと連行される。

あたしの後に苦笑しながらデイダラも続く。



『サ、サソリ!!!』

サソリ「あぁ????」

『木ノ葉に買い出しは不味いんじゃ…。』

サソリ「何でだ???」



サソリは歩みを止め、顔をこちらに向けた。



『敵なんだし捕まったらりしたら…。』

サソリ「フン。いらねェ心配してんじゃねーよ。」

『だって…。』

サソリ「オレがそんなヘマ踏むはずねェだろーが。」

『…うん。』

デイダラ「オイラもいるし安心しろよ。うん!!!」



デイダラはあたしの頭をクシャッと撫でるとニイッと笑った。

その笑顔にあたしも吊られて笑ってしまった。



『…うんっっ!!!ごめん、心配なんか大きなお世話だったね???』

デイダラ「そうだぞ。うん!!!」

サソリ「…まぁ、お前が裸のままで良いなら買い出しに行かなくても構わないんだがな。」

『ぜ、是非連れて行ってください///!!!!』

サソリ「フン。ツベコベ言わず、最初からそう言えってんだ。」



サソリはクルリと前を向くとあたしの腕を引き、玄関へと足を進めた。





面倒見が良くて優しいデイダラ。

不器用だけど、優しいサソリ。


会って間もないけど、惹かれている自分がいる。

きっと、漫画の中では分からなかった彼等の顔が沢山ある…。

もっといろんな顔を見てみたい…。

もっと暁の皆の事を知りたい…。



あたしはそんな事を考えながら足を進めた。





〜Fin〜



2011.5/19






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