ロング | ナノ



Act.17*心配と・・・*





デイダラ「リク、オイラ・・・」



いつになく真剣な・・・、

それでいて切ない表情を浮かべて・・・

真っ直ぐにあたしを見据えるデイダラに鼓動が早くなって行くのを感じる。




何故、こんなに切なく悲しそうな顔をしているのか・・・、

原因は何なのか・・・。

力になってあげたい・・・、

支えてあげたい・・・。



・・・そんな風に思っているのに。





あたしを抱き締めるデイダラの腕が力強くて・・・、

妙に男性として意識してしまう自分が嫌になる。



こんな事を考えている場合ではないとゆう事は、頭では分かっているのだけれども・・・



あたしを真っ直ぐに見据える綺麗な青い瞳とか、

鼻筋の通った整った顔立ちだとか・・・、

掠れた低い声だとか・・・、

デイダラの全てにドキドキと心臓が反応してしまう・・・。




そんな自分を叱咤し平静を装うと、見つめたまま話さないデイダラに優しく微笑みかけた。



『・・・デイダラ、大丈夫???』

デイダラ「・・・オイラ・・・」





ーガンッッ!!!




『!???』

デイダラ「!????」




デイダラが口を開いたのと同時に少し先の部屋の扉が大きな音を立てて開いた。



飛段「・・・ふぁ〜。・・・ねみぃな。」



ボサボサの頭を無造作に掻きながら、半裸で部屋から出てきた飛段に思わず体が固まった。



飛段「・・・んァ???」



あたし達の姿に気付き首を傾げた後、飛段はニヤリと口角を上げた。



飛段「ククク。お前等、朝から何イチャついてんだァ???」

『///!???』



飛段の言葉にハッと我に返った。

男女がこんなに密着して抱き合っていれば、端から見たらイチャついているようにしか見えないだろう・・・。



『ち、違うの///!!!これには訳が////!!!!』

デイダラ「・・・イチャついてなんかねェよ。うん。」

飛段「照れんなって。ったく、デイダラちゃんも隅に置けねェな。」

『ひ、飛段////!!!』

飛段「でも、リクはデイダラちゃんには渡さねェよ???オレのモンだからなァ。」

デイダラ「いつから、テメェのモンになったんだよ・・・・。うん・・・。」

『そうやって直ぐにからかうんだから////!!!!』

飛段「マジなんだけどなァ????まぁ、今は冗談って事にしといてやるよ。」

『〜っっ////!!!!!』

飛段「おっと。デイダラちゃんが恐い顔してっから、オレはそろそろ退散するとするぜェ???」



飛段は眼を細めて楽しそうに笑うと手をヒラリと振り、その場を後にした。



『・・・・・・////。』

デイダラ「・・・・・・。」



飛段が居なくなり、その場が静けさに包まれた。


何を話したら良いんだろう・・・???

飛段に変なからかわれ方をされたから、何となく気恥ずかしい。



どうしたもんかと思案しているとデイダラに急に頭をぽんぽんと撫でられた。



デイダラ「抱き締めたりして悪かったな。うん。」

『え???あ、ううん////。』

デイダラ「あー、その何だ???何か、寝ぼけちまってたみてェで・・・。」

『大丈夫だよ///。・・・それよりも話の続きは???』

デイダラ「・・・あぁ〜、いや・・・。大した話じゃねェんだ。うん。」



あたしの頭を撫でながら困ったように笑うデイダラ・・・。

辛そうな顔を見てしまった為、大した話でないと言われても納得は行かないのだが・・・

デイダラが話したくないのなら仕方がない。

いつか、またデイダラが話したいと思ってくれた時に聞こう。



『そっか・・・。じゃあ、また今度聞かせてね???』

デイダラ「あぁ。・・・必ず。」

『・・・あ、朝食!!!!急がないと無くなっちゃうよ???』



あたしはニッコリと笑うとデイダラの腕を引いた。



『ほら、早く!!!』

デイダラ「おう!!!!」



デイダラはクスリと笑いを溢すと、もう一度クシャリとあたしの頭を撫でてリビングへと走り出した。



デイダラ「ありがとな。」

『・・・え???』



何か言われた気がしたのだが、小さな声であった為聞き取れなかった。



デイダラ「・・・何でもねェよ。うん。」

『???』

デイダラ「ンな事より早く走らねェと置いてくぞ???うん???」

『ま、待ってよぉ!!!!』



悪戯な表情を浮かべて笑うデイダラに安堵すると、あたしも負けじと駆け出した。





〜Fin〜



2012.9/1






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