Act.18 *味気無い朝食*
『おはよう!!!』
デイダラ「おはよう。」
リビングにパタパタと走り込むと、皆既に席に着き朝食をとっていた。
やっぱり、あたし達が最後のようだ。
イタチ「おはよう。リクにしては珍しく遅いな・・・????」
『あ、うん。ちょっと、寝坊しちゃって。』
イタチ「日頃の疲れが出たんだろう。余り無理はするなよ???」
『ありがとう。』
イタチの気遣いが嬉しくて自然と頬が緩む。
サソリと良い、デイダラと良い・・・
本当に暁の皆は優しいと思う。
S級犯罪者だ何だと罵る人達に教えてあげたいくらいだ。
鬼鮫「デイダラさん、リクさん。おはようございます。」
キッチンから料理を運ぶ鬼鮫に急いで駆け寄った。
『寝坊しちゃってごめんね。』
鬼鮫「大丈夫ですよ。」
『ご飯の準備とか全部やってもらっちゃって・・・。』
鬼鮫「気にしないでください。いつもはリクさんがやってくださっているんですから。」
『明日からは気を付けるね。』
鬼鮫「たまには私もやらないと腕が鈍ってしまいますから。」
『ふふ。ありがとう。』
鬼鮫にお礼を言うといつもの定位置であるデイダラとサソリの間の席に着いた。
先程の事が頭を掠め、サソリと顔を会わすのが何となく気恥ずかしい。
でもここで挨拶しないのも変だよね???
あたしは気付かれないように小さく深呼吸をするとサソリの方を向いた。
『お、おはよう///。』
サソリ「・・・おはよう。」
サソリはチラリと此方を見ただけで黙々と食事をとり続けている。
余りにも普段通りな振る舞いに、内心拍子抜けしてしまった。
・・・まぁ、変に意識する方が可笑しいのかもしれないけれど。
あたしはホッと胸を撫で下ろすと食事に手を付けた。
『いただきます。』
何となく話す気になれなくて黙々と食事をしていたら、デイダラに肩をつつかれた。
デイダラ「リク。」
『ん???なぁに???』
デイダラ「これ旨いぞ。」
デイダラの指差した場所を見るが・・・
『え、どれ???』
沢山の料理が並んでいる為、どれを指しているのかが分からない。
デイダラ「これだって。」
『え???』
デイダラ「ったく、仕方ねェな。・・・んっ。」
デイダラはプレートに並んでいたウインナーをフォークで刺すとあたしの前にずいっと出してきた。
『え???』
デイダラ「口開けろよ。うん。」
『え、えっと・・・///???』
デイダラ「ほら、あーん。」
『あ、う〜・・・///???』
どうしたら善いものか分からず、ウインナーとデイダラとを交互に睨めっこする。
そんなあたしの様子に痺れを切らしたのかデイダラは小さく舌打ちをした。
デイダラ「ほら、早くしろよ!!!手が疲れんだろ???うん。」
『あ、ごめん///!!!い、いただきます////。』
あたしはおずおずと口を開けると一口ウインナーをかじった。
モグモグと口を動かすが、羞恥からか味がよく分からない。
デイダラ「な???旨いだろ???」
『う、うん///。』
味が分からないだなんて言う訳にもいかず、あたしは首をコクコクと縦に振った。
飛段「おいおい〜。朝っぱらから廊下でイチャついてると思ったら、今度は此処かよォ???」
『なっ////!??イチャついてなんかないよ////!!!!』
こんな発言をされたら勘違いされてしまう・・・!!!!
あたしの抗議の言葉をスルーして、飛段はデイダラの方に首を向けた。
飛段「朝っぱらから際どいモンくわえさせて、変な気分になんだろーが。」
デイダラ「てめェ、朝っぱらから盛ってんじゃねェ!!!!うん!!!!」
飛段「あんなん見たら誰だって妄想するに決まってんだろ!!!」
デイダラ「リクをおかずにすんじゃねェよ!!!!うん!!」
『・・・////。』
反応しずらい会話にあたしは聞いていないフリをして、ひたすらに食事を口に運んだ。
食事をとりながら気になるのはサソリの事。
飛段のさっきの発言をサソリはどう思っただろうか???
チラリと覗き見るが先程と変わらず、表情を変えることなく食後の珈琲を啜っていた。
・・・そうだよね。
あたしが誰とイチャつこうとサソリにとっては関係のない事。
あたしはどんな反応を期待していたのだろうか???
あたしは何を望んでいたの・・・???
自分で自分の事がよく解らなくなって・・・
何だか情けなく思えて来た・・・。
食後に大好きなココアを口に含むがいつものような甘さを感じられない。
今日の朝食は何だかとても味気無く感じた。
〜Fin〜
2012.12/14
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