ロング | ナノ



Act. 16 *嫉妬心*





デイダラ「んぅ〜・・・。」



眩しいな・・・。うん。

目をうっすらと開け眩しさの原因を確認する。

どうやら、カーテンの隙間から射し込む太陽の光りが丁度オイラの顔を照らしていたらしい。



デイダラ「折角、気持ち良く寝てたのによ・・・。うん。」



軽く体を伸ばし、近くにあった目覚まし時計を確認するとあと少しで朝食の時間だった。

頭の中が眠気で微睡んでいるが、早く動かないとサソリの旦那に叱られる・・・。

それにリビングにはリクが笑顔で珈琲の準備をして待っているだろう。

リクの笑った顔を想像するだけで胸がほんわかした温かい気持ちになる。



デイダラ「・・・よし、準備するか!!!うん!!!」



急いで身仕度を整え、部屋を後にしようとドアノブに手を掛けた。



ーガチャ



右隣からドアを開ける音が聞こえ、オイラは首を傾げた。




デイダラ「・・・リク???」



いつもなら、とっくにリビングに居る時間の筈なのだが・・・。

修業の疲れで寝坊でもしたのだろうか???

どちらにしろ、朝一にリクに会えることが嬉しくて弛む口元を抑えながらオイラはドアを開けた。







・・・が、目に入ったのは旦那の後ろ姿だった。




デイダラ「・・・旦那???」




頭の中はクエスチョンマークだらけで訳が分からない。

何故、旦那がリクの部屋から出て来るんだ???

しかも、こんな朝早くから・・・。




デイダラ「・・・んで・・・」




ドロドロとした黒い感情が胸の中に広がっていく。



デイダラ「・・・何で、旦那なんだよ。」



旦那がリクの部屋に居たのに、大した理由など無いのかもしれない・・・。

頭の何処かでは分かっているのに、

それよりも、リクと旦那が一緒に居たことが嫌だった。



あんな密室で二人きり・・・。

何があっても可笑しくは無いのだ。

相手がリクに特別な感情を持っているであろう相手なら尚更だ。




リクの部屋の前に立ち扉を見つめる。

今、リクは部屋で何をしているんだろうか・・・???




デイダラ「・・・・・・。」





ーガチャ



扉が開き、リクが驚いた表情で此方を見上げる。


『きゃっ!???あ、デイダラ!???』

デイダラ「・・・リク。」



顔を上げたリクの顔を見て胸がツキンと苦しくなった。

目元が赤く、いつもより腫れぼったい。

もしかして、泣いていたのかい???



何があったんだろうと心配する気持ちと、

旦那の前で泣いて居たのかとゆう嫉妬が入り交じり複雑な気持ちになる。






デイダラ「・・・・・・。」

『デイダラ???』



返事をしないオイラに、不思議そうに首を傾げるリク。

目の前に居る筈なのに、フィルターがかかったかのように視界は淀んで見える。

黒い感情は止まることなく、渦巻くように胸の中を支配していく。






リクは・・

リクはオイラのモノだ・・・!!!!






『どうした・・・っっ///!???』




考えるよりも先に体が動いていた。

気付いたらリクの腕を引き、抱き締めていた。



『デ、デイダラ///!???』



リクが戸惑っているようだが、そんな事を気にしている余裕はない。



放したくない・・・

リクを誰にも渡したくない。

旦那になんか渡してたまるか・・・!!!




『・・・大丈夫????』

デイダラ「・・・!???」




リクがオイラの背中に手を回し、優しく擦る。



『デイダラ、辛そうな顔してる・・・。』



心配そうにオイラの顔を覗き込むリクに胸が締め付けられるように苦しくなる。




もし・・・、

オイラがリクを好きだと言っても同じように心配してくれるだろうか・・・???

今まで通りに接してくれるだろうか・・・???




リクにとってオイラはどんな存在なんだろうか・・・。






リクを抱き締める腕に力を込める。






デイダラ「リク、オイラ・・・」

『・・・???』





出会ってからの期間なんて関係無い・・・

初めて本気で人を守りたいと思った・・・

愛しいと思った・・・

誰にも渡したくないと思った・・・






デイダラ「オイラ、リクの事が・・・」







〜Fin 〜




2012.8/27







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