Act. 13 *不安*
旦那のあの反応・・・。
確実にリクに気があるよな・・・。
・・・うん。
デイダラ「・・・。」
リクの修行をしつつ、考えてしまうのは先程の旦那の反応。
普段、他人に興味などなく仲間が死のうが顔色一つ変えたことも無かった旦那。
それがリクの時はあの焦りよう・・・。
テイダラ「・・・旦那が相手となると厄介だな。・・・うん。」
『何が厄介なの???』
デイダラ「!???」
目の前で小首を傾げ、オイラを上目に見るリクに心臓が大きく跳ねる。
オイラとした事が大分、気が抜けていたようだ。
デイダラ「い、いや・・・!!!!」
『・・・???』
デイダラ「何でもないぞ!!!うん!!!!」
『そっか???』
デイダラ「あぁ。」
『ふぅ〜ん???』
何処か納得の行かない顔をしつつもそれ以上は詮索するつもりは無いようだ。
オイラはホッと小さく安堵の溜め息を洩らした。
デイダラ「それより、修行はどうしたんだい???うん???」
『あ、その事なんだけどね・・・。この辺りの一番高い木は登りきっちゃったし、今度は着地の仕方とか教えて欲しいなって。』
デイダラ「うん???」
『あたし飛び降りれないから、登っては駆けて降りてくるしか出来ないの。』
デイダラ「・・・。」
チャクラをコントロールする事は出来るのに着地は出来ないって、普通はコントロールの方が難しいんだけどな・・・。
それに、登っては降りるを繰り返すとなるとかなりチャクラを消費する筈なのにピンピンしてる・・・。
これはかなりのチャクラを秘めてるんじゃねェか???うん。
『・・・デイダラ???だ、ダメかな???』
反応の無い事に不安を覚えたのか、眉尻を下げてオイラの様子を窺う。
デイダラ「いや、大丈夫。着地の仕方な???」
『うん!!!』
リクは嬉しそうにニッコリと笑うとオイラの手を引いて駆け出した。
デイダラ「っ、おいっっ///!????」
『時間が勿体ないでしょ???』
デイダラ「バテても知らねェぞ???うん???」
『バテたら、デイダラに看病してもらうもん♪』
舌をペロリと出し悪戯な表情を浮かべて笑うリクに思わず目を奪われる。
デイダラ「っっ///!????」
あぁ、どうしてこうも一々行動が可愛いんだろうか???
きっと、リクのこうゆう無邪気で素直な所に皆惹かれるのだろう。
オイラは微かに紅く染まった顔を隠すように、リクの頭をぐしゃりと撫でた。
『きゃっっ!???ちょっと!!!』
デイダラ「仕方ねェから、その時は面倒看てやるよ。うん。」
暫くキョトンとした表情を浮かべた後、リクは嬉しそうに首を縦に振った。
『・・・うん!!!!』
オイラはやっぱりリクが好きだ・・・。
誰にも渡したくない。
旦那が相手だとしても、リクだけは渡さねェ。
絶対に負けねェからな???うん。
手から伝わるリクの温もりを感じつつ、オイラは決意を固めたのだった。
**********
『・・・ふぅ、疲れた・・・。』
あたしはベットの上へとゴロンと寝転んだ。
今日の修行はチャクラを使ったせいか妙に体が怠い。
あたしはぼーっと天井を眺めた。
『・・・・・・。』
一人になるとふと考えてしまう・・・。
あたしはいつまでこの世界に居られるのかなって・・・。
朝、目が覚めたら現実世界に戻っていたら・・・???
そう考えると不安で仕方がない・・・。
今までは一人で居ることが当たり前だった。
でも、今は違う。
暁の皆に優しく受け入れられて、皆で食卓を囲み、笑ったり、喧嘩したり、叱られたり・・・
家族が居たらこんな感じなのかなって・・・。
毎日が充実してて、楽しくて・・・
この温かさを知ってしまったあたしが現実世界に戻って、一人の孤独に堪えられるのかな・・・???
『ずっと、ここに居られたら良いのにな・・・。』
もしかしたら、このまま居られるのかもしれない・・・。
でも、もしかしたら急に戻ってしまうかもしれない・・・。
この世界に来れた理由が解らない以上は、どちらの可能性も消えない。
『・・・はぁ。』
お願いだから、皆を助けるまではここに居させて欲しい。
目の前が霞み、急いで目を綴じた。
泣くな、
泣くな、
泣くな・・・。
明日、目が腫れてたら皆が心配するでしょ???
あたしは自分を落ち着かせるように大きく深呼吸をした。
『・・・寝よう。』
枕元にあったくまのぬいぐるみを抱き締めると目をギュッと瞑った。
〜Fin〜
2012.3/12
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