「暑い……」
隣で達也は何回その言葉を口走っただろうか。それを聞き流しながら、うちわで扇いでやる。
「んー…」
気持ち良いのか少し目を細めて
それを受け入れる達也に、
少しだけ頬が緩んだ。
「次は僕が扇ぐよ。」
「いや、俺は大丈夫だ。」
「それじゃあドラゴンが暑いでしょ?」
頬を膨らませてそう言った達也に、少し返答に困った。
「確かに暑いが…」
未だうちわで達也を扇いだまま、口を溢す。
何でかは判らないが、こう、
達也といる時は然程暑さを感じないのだ
「達也の顔を見ていると、不思議と大丈夫だぞ?」
っと付け足し。
本当のことを溢したら
「え…あ、そうなの…?」
っと戸惑いながら頬を赤くした達也を見て、
「(可愛い…)」
内心そう溢しながら、
俺はまたうちわで、
達也に涼しさを扇いでやった。
前 次
←戻る