「っ、あ…」



上から溢れる嬌声
顔を少し上げて達也の表情を確認すれば、艶かしく身を捩りながらも熱を帯びた瞳が俺を見つめる。



「やぁ…、見ない…で…」



そう懇願する甘ったるい声で言われても、
やめられる筈が…ない…。

もっと、もっと、聞きたい。



「達也…」

「ん…っ」



ちゅうっとまだ未発達な鎖骨に口付けを落とし、紅い跡を残してやる。

そう、俺の瞳と同じ色の跡



「ドラ…ゴン、」



達也の手が俺の頬に触れる。
熱いのに心地の良い体温が俺の中に流れてく。

そのまま、ゆっくりと達也の顔が近付いてくるのに、俺はそれを受け入れようと瞼を閉じた。








「…あ………」



ぱちり。

達也との口付けが終わり、
瞼を開けばそこには見慣れた天井が



「………。」



俺は少し時が止まったようにただひたすら瞼を動かす。



「…夢…か…」



そしてやっと何が理解がした瞬間
俺はあまりの恥ずかしさに掌で顔を覆った。



「…なんて夢だ……」



ゆっくり上体を起こしてから
思わず深くため息が漏れる。

理解してからの体の芯がじわじわと熱くなって、ただ脳裏には情事中のあの艶かしい達也だけが残ったまま…



『ドラ…ゴン…』



「っ、くそ…。」



浮かぶ瞬間、
俺は瞼を強く押さえ頭を抱える



「相当重症かもしれん…」



片想いの相手をまさか夢で抱いてしまう程になるなんて…。

それほど俺が達也のことが好き、
なのはいい…が、

これは流石に自分でもいただけん。



「けど…」



俺は下手したらずっと、
この夢を見る羽目になるかもしれない…



「俺しだい、か」



ポーッと遠い見えない先を見つめて
ドラゴンはポツリとそう呟いた。



「おーい!ドラゴンー!」

「…?」



するとふと下の方から相変わらずの元気な声。

…切札勝太か。
何故こんな朝早くに?





「べんちゃんと遊びに来たぞー!!!」

「っ…!?」




ああ…、なんてことだ……。

まさかのタイミングの良さ、
今日は流石に達也のこと直視できないのに。



「…っ、今行く。」


そう思いながらも足取り素早く、
俺は切札勝太と達也のいる下へ向かうことにした。





夢の後の末路
案の定、一度も
達也の顔を見ることが出来なかった……






←戻る