今日も相変わらず僕らはドラゴンたちのところへお邪魔している。

その中で僕は提出しないといけない塾の課題と悶々と向き合っていた。


「何をしているんだ?」


するとふと上から落ちてきた声。
誰だか直ぐに判って少しだけ心臓が跳ねる


「塾の課題。昨日やるの忘れてて…」

「ふうん」


振り向かずに答えると、声の主のドラゴンは徐に僕の隣に腰を下ろした。



「……。」

「……。」



カリカリ、カリカリ、
シャーペンの書く音だけが流れる。
ちらっと横目でドラゴンを見れば
彼はただ僕の課題に目をずっと捉えていて。


「(…気まずいな)」



どうせ意識してるのは僕だけだけど、どうしてもドラゴンと二人の空間になると何か緊張する。



「…細いな」

「えっ」


内心落ち着かない気持ちでいたら、
ふとドラゴンが呟いて顔を上げる。

彼を見たら「指」っとだけ言って僕の手を握った

また、僕の心臓が跳ねる



「ほら、俺よりも細い」


そう言って僕の手を自分の元へ手繰り寄せてから、ドラゴンは僕の手を開かせて自分のと比べる


「…そりゃ、僕よりドラゴンの方が大人だもの」


ぴたりと合わさった僕の手と彼の手。比べれば勿論ドラゴンの方が大きくて…。

…それよりも僕は「(手汗凄いかも…)」と自分の心配に必死で


「それもそうだな」


納得したようにドラゴンの手のひらが離れる、と同時、今度はぎゅうっと握られる


「それにこれなら、こうやって握りやすいかもな」

「え…!?」


くすりと小さく笑うドラゴンに僕の体は紅潮する。


「…課題、頑張れ」


そんな僕を尻目にちゅっと僕の手の甲にキスを落とすと、

彼は僕の元を離れていった。



「…集中…できなくなった…」






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