レオくんが転校してから早二週間。
ものの転校初日でクラスメイトたちの人気者になったのは今でも印象強く残っている。

「今日のオレもカッコ良かったな!」

「うん、そうだね。カッコ良かったよ」

気が付けばこうして一緒に帰ることも
当たり前な位に何故か僕はレオくんと仲良しになっていて…、

まあ…レオくんが積極的だったのもあるけど。


「勉くんは今日も塾かい?」

「そう…だね、もうちょっとしたら行かないと、」

「そうか…、じゃあここで別れないとだな…」


商店街から離れて、住宅街への入り口。そこからピタリと足を止めたレオくんにつられて、僕も足を止めた。

「レオくん?」

「…勉くん、あのさ」

俯いたままになっているレオくんが気になって顔を覗けば、彼の黄金の瞳が揺らいだ。

「悪いけど、これだけは拒まないでくれるか?」

瞳に吸い込まれてた瞬間、そう言い放った彼の言葉が僕の唇に重ねられる。

「…、え…?」

「っ…ごめん」

思考が付いていかないまま、僕は彼を見つめて固まることしか出来なかった。それでもレオくんはフッと似合わない寂しい笑みを溢して、僕の頬を撫でる。


「…もしこれが勉くんにとって嫌だったら、明日からオレと一緒に帰らないで」

じゃないと、オレ止まらなくなるから。

そう真っ直ぐ僕を射抜いた後、言い逃げるように彼は住宅街の方へと走り去ってしまった…。


「……。」


レオくんの小さくなる背を見つめながら、僕はおもむろに唇を撫でる。

とても…熱い……。

「卑怯だ…」

僕の気持ちも聞きもしないで逃げるなんで…

「嫌じゃないよ、君のこと」

だから明日は、帰るときに僕が君を誘うね。




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