只今俺と達也で二人きり。
背中合わせで俺はデッキの構成。
達也は勉強、とやらをしている。


「ドラゴン」

「ん?」



ふと背中越しに呼ばれて
、肩をトントンっと叩かれたので
反射的に振り向けば、
俺の頬に達也の指が軽く突かれる


「引っ掛かった」

「…?」



何かよく判らず俺はそのまま静止。
達也はそんな俺を見てしてやったり、と顔を綻ばせた。



「学校で流行ってる引っ掛けなんだ」

「引っ掛け?」

「罠、だよ。」



俺の頬から指を離すとクスクスっと控え目に笑い「それをドラゴンにしたかっただけ。」とまた俺に背を向けた



ああ…、成る程。

俗に言う『不意討ち』というやつか。



少し間が相手からやっと理解した俺は、どうせなら俺もしてやろうと思い立つ

トントン、
達也の肩を叩き、振り向かせる



「達也」

「ん?…っ!?」



案の定、俺と同じように疑うことなく振り向いた達也。俺はその瞬間に達也の唇に軽くキスを落とす。



「え…っ」



すると、さっきの俺みたいにぽかんっと口を開けたまま俺を見つめる達也が



「さっきのお返しだ。」



そう言ってまたキスをしてやれば
やっと我に返ったのか達也の顔がほんのり赤い。


…その顔はやめてくれ
またしたくなる……



「…ドラゴンからのキスはいつだって急じゃないか…」



そう言って頬を膨らませてそっぽを向く達也に、逆に俺の理性が燻られる



「達也だって俺でいつもからかっているだろう?」

「え…?そんなことないよ?」

「いや、してる。」



俺にしか見せない表情、視線、仕草。その全てでいつも俺の感情をかっ拐うくせに。



「正直、命がいくらあっても足りないくらいだ。」



この無意識な小悪魔め。





小悪魔の異名
(今度からそれに改名したらどうだ?)






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