「………。」
すうっと静かに息を吐いて、
足音立てずに彼の背に歩み寄る。
そして柔く彼の肩に手を添えた。
「、達也…か?」
ただそれだけの動作で、彼は警戒もせずに僕がいると把握しただろう位置に顔を上げた。
彼の掛けているサングラスの奥には光が見えない。
見えない筈なのに
「…どうしてわかったの?」
「俺がお前の気配を察知出来ないわけないだろう。」
僕の顔さえ見えないのに、
今僕が笑みを溢してるのを諭したようにシンクロして彼も笑みを溢す。
肩に添えた僕の手に彼の手が添えられる。彼の手には震えがなく迷いがない。
「…達也の体温はやはり心地いいな。」
「ふふ、ありがとう。」
染々とそう呟いたドラゴン。
「ドラゴン」
「ん…?」
僕にも君の体温は心地良いよ。
君の瞳にもう僕が映らなくても、
この体温だけで僕らは繋がっている。
そうだよね?
「ずっと、ずっと好きだよ」
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