日常


昼食後、お名前とシャンクスはどこへ出かけるわけでもなく、甲板へ出て日向ぼっこをしていた。2、3日前に到着した冬島で初めての小春日和だった。


「今日は天気がいいね、シャンクス。」

「そうだなぁ。後で散歩にでも出かけるか。」

「いいの?」

「ああ。」

「もー、嬉しい!」


そう言って笑ったお名前が、シャンクスの腕に擦り寄る。たかが散歩の約束で、これ程の笑顔をくれるお名前のことが、内心シャンクスは愛おしくて仕方がないのだった。



「お頭ー!!お頭ー!!」


そこで船内から、シャンクスを呼ぶ大きな声が聴こえる。


「あ、ルウだ。」

「すまんお名前。少し席を外す。」

「うん。」

「大した用ではないだろうがな。」

「うん。」


シャンクスが立ち上がり、船内へと足を向ける。お名前はそんなシャンクスの背中を見送り、大きく伸びをした。本当に、気持ちの良い天気である。




船尾の方ではクルーたちがお昼間だと言うのにお酒を飲み交わし、賑わっている。そんな皆の声が徐々にお名前の耳から遠のいていくのを感じ、気がつけばお名前はうとうとし始めていた。その眠気に逆らうことなく、重たくなった瞼をゆっくり閉じる。




20分程経っただろうか。



再び聴こえてくるクルーたちの声。ぼんやりとした意識の中で、お名前は自分の身体が何かに寄りかかっているのを感じた。目を瞑ったままでいても、すぐにそれがシャンクスの肩であることに気がつく。




シャンクス戻ってきてたんだ。




目を開けようとしたそのとき、シャンクスがお名前の髪を優しく撫でると、そっと唇を寄せた。


突然のことにドキッとしたお名前はすっかり目を開けるタイミングを逃してしまった。
少しの間、シャンクスに寄りかかったまま狸寝入りを続けるお名前。



ふと、シャンクスの息遣いが近くなるのを感じる。シャンクスがお名前の耳たぶをそっと唇で挟むと、お名前は思わず声を上げた。


「もーシャンクスってば!くすぐったい!」


くすくすと笑いながら身体をよじり、ようやく目を開けたお名前に、シャンクスがしてやったりと笑みを浮かべる。


「もーシャンクス、分かってたの?」

「ああ。少しからかった。」


ハハハッ!と笑い声を上げるシャンクスにつられてまたお名前も笑う。



「起こしちまったか?」

「もー、何今さら。」

「ハハハハッ!!」


お名前とシャンクスにとって、こんな平和な時間が何よりの幸せだった。


「散歩にでも行くか?」

「うん。でももう少し。」

と、お名前がはにかみながら再びシャンクスの肩にもたれ掛かる。お名前の身体を優しく抱き寄せながら、こんな何てことのない2人の幸せが、これからもずっと続けてほしいと心から願うシャンクスなのだった。





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