自信 前編-1

かごめちゃんは非常に難しい恋愛をしていると思う。
桔梗さまという名の巫女を、私は聞いた事がある。
けれど、彼女は死人なのだという。
かごめちゃん、犬夜叉さま、桔梗さま。
三人の関係が複雑に絡み合っている。
七宝ちゃん曰く、犬夜叉さまは二人の間を行ったり来たりしているらしい。

「花怜ちゃんは嫉妬とかした事ある?」
『嫉妬、ですか。』

私はかごめちゃんと二人だけで話していた。
偶然再会した村のお屋敷で、かごめちゃんから相談があると言われて呼び出された。
殺生丸さまと私の関係を知るかごめちゃんは、縁側で足をゆらゆらと揺らした。

「殺生丸はそんな浮ついた奴じゃないよね…。」
『だと思いますが…。』

私が知る限りは、殺生丸さまは潔白だ。
私が初めての女のようだし、過去に女がいたような様子もない。

「もしもの話よ?
もし殺生丸が二股してたら、如何思う?」
『哀しむでしょうね。』
「怒る?」
『如何でしょうか…。』

私は殺生丸さまを惹き付けていられるような自信がない。
二股されたとしたら、自分の責任だと思う。
けれど、殺生丸さまは私に優しい言葉を沢山くれる。
私を心から支えてくれるお方だと信じていられる。

『殺生丸さまを信じています。
ただ自信がないだけで…。』
「何言ってるのよ!
花怜ちゃんは本当に綺麗よ?」

かごめちゃんがそう言ってくれるのは素直に嬉しい。
私は自然と微笑んだ。

「ごめんね、二股だなんて変な事訊いちゃって…。」
『いえ。』
「でも、本当に自信持って?」
『ありがとう。』

それだけかごめちゃんは大変なんだろうな。
私だったら、苦しくて耐えられないかもしれない。
きっと殺生丸さまの傍にはいられなくなる。

『かごめちゃんも気負い過ぎないで。』
「ありがと、花怜ちゃん。」

私はかごめちゃんを応援している。
犬夜叉さまは言葉にしないだけで、かごめちゃんの事を慕っていると思う。





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