邪気

「ぐぐぐ…。
犬夜叉…何処にいる…?」

不気味な笑い方をする男。
禍々しい邪気の根源は、この刀鍛冶の持つ剣だった。
犬夜叉さまはこの灰刃坊という男が記憶にないようだった。

「誰だてめえ。」
「わしは灰刃坊。
刀鍛冶よ…。」

私は目を細めた。
これ程までの邪気に、この男の身体は持ち堪えられるのだろうか。

「わしの鍛えた宝剣闘鬼神=c。
こいつが犬夜叉の血を吸いたいと哭いておるわ…。」

闘鬼神
その剣は犬夜叉さまを剣先で示した。
まるで、剣が男を操っているかのようだ。
犬夜叉さまが言った。

「灰刃坊だとか言ったな。
誰に頼まれた!?」
「ぐぐぐ…言っただろう…。
この剣がてめえを斬りたがってると…。」

この男によると、闘鬼神は刀々斎さまの鍛えた鉄砕牙を噛み砕いた鬼の牙から打ち起こしたのだという。
つまり、殺された鬼の怨念がこもった剣だ。
一体、誰が鬼の牙をこの男に渡したのだろうか。

「かかってきやがれ灰刃坊!
返り討ちにしてやらあ!!」

犬夜叉さまは短気だった。
弥勒さまと珊瑚ちゃんの二人が犬夜叉さまの前に飛び出した。

「引っ込んでろ犬夜叉。」
「此処は私と珊瑚に任せなさい!」

目を醒ましたかごめちゃんと七宝ちゃんが犬夜叉さまの腕を取り、必死で制した。
珊瑚ちゃんが飛来骨を投じたけれど、それは闘鬼神によって両断されてしまった。
弥勒さまは風穴を開かずに、男の額に向けてお札を投じた。

「成敗!」

錫杖が振り下げられ、男の頭の上部が二つに割れた。
男が仰向けに倒れ、殺したかと思われた。
その時、闘鬼神が脈を打ち、犬夜叉さまが叫んだ。

「危ねえ弥勒っ。」

闘鬼神が弥勒さまに剣先を向け、男によって振り下げられた。
その太刀筋を受け止めたのは、私の霊刀だった。
私は瞬発的に柄を取り出して霊刀を作り、男の前に飛び出したのだ。

「何者だ…。」
『今すぐにその剣を手放しなさい。』

私は霊刀を通して、闘鬼神の邪気を浄化し始めた。
邪気が消えるのを恐れたのか、灰刃坊は霊刀から離れて後方に飛び退いた。
私は霊刀を構えたまま言った。

『早く、手放して。』
「てめえに用はねえ…狙いは犬夜叉だ。」

きっと、灰刃坊はもう手遅れだ。
頭も割れているし、剣に取り憑かれてしまっている。
それでも、この剣は叩き折るべきだ。
私があの邪気を浄化する。




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