雪女の捜索

デイダラがあの宿で雅に見送られてから一ヶ月以上が経過した。
しかしあの日以来、二人は一度も逢えていない。

快晴の真昼空の下、無人の小さな寺の前に芸術コンビと不死コンビの四人がいた。
デイダラは角都から聞いたばかりの話に愕然としていた。

角都やゼツの情報によると、昨夜此処から最も近い砂漠の中心部で、風遁使いの一族の忍が三人死亡しているのが見つかった。
全員が男で、一人は老人、二人は若者だった。
その一族が雅の一族と懇意にしていた一族だという。
遺体の忍服に刺繍されている家紋で、その一族であると特定されたのだ。
大量の血痕が残っていた現場には、氷の破片が僅かに残っていた。
気温の高い砂漠に残る程の氷となると、雅の一族によるものだと考えるのが妥当だ。
そして昨日、雅は角都との待ち合わせ場所に来なかった。

「雪女の一族は生き残りが少ない。
雅が其処にいたのかもしれん」

角都の声は努めて冷静だった。
寺の階段に座り込む飛段は唇を噛み、何かを堪えているようだった。
この二組が合流するのは、雅が倒れた日以来だ。
常にハイテンションな飛段が座り込んで落ち込む様子は、デイダラとサソリを驚かせた。
デイダラは飛段に雅との交際を意気揚々と話してやろうと思っていたのだが、それどころではない。
角都は三人に背を向ける飛段を視界の片隅に入れながら言った。

「ターゲット以外は殺さない雅が、懇意にしている風遁の一族を殺したとは考え難い」
「角都の旦那、まだ雅が其処にいたって決まった訳じゃねえだろ…うん」

もう一ヶ月も逢っていない。
連絡する手段もない。
角都はデイダラとサソリに背を向け、階段を一段だけ降りた。

「俺たちは雅を探す。
お前たちはどうする?」
「行くだろ、サソリの旦那!」
「…仕方ねえな」

サソリは仕方ないと言いながらも、雅の顔が頭に浮かんだ。
雪女と呼ばれながらも、温かい微笑みが印象的な女。
傀儡にしたいと望ませる程、芸術的な女。
誰かに殺されるなんざ、許さない。

「デイダラの泣き言を聞く羽目になるのは御免だ」

そう理由をつけて、探しに行こう。
ペインから次の任務を言い渡される前に、探し出さなければ。





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