龍は双葉を様々なところに連れていった。
美味しいレストランや映画、ショッピングなど。
双(私がお礼しようと思ってたのに、これじゃ全然だよー!)
龍は双葉を案内するのが楽しいのか、次から次へとおすすめの店をまわる。
双(め、迷惑じゃないのかな?)
しかし双葉にはそれを尋ねる勇気がない。
そのうち双葉も案内されるのが楽しくなり始めていた。
次はどんなところだろう、とわくわくしてしまうのだ。
少し休憩しようとカフェで休むことになった二人。
双「龍さん、ここのコーヒー美味しいですね」
龍「良かった。ここ俺のイチオシの店なんです」
オ「お気に召したようでなによりです」
コーヒーを持ってきたオーナーがにっこりと笑う。
金髪の、大人の女性といった風のオーナーだった。
双「龍さん、ここにはよく来るんですか?」
龍「はい、それなりに」
オ「ふふふ。ではケーキをお持ちしますね」
オーナーは軽くお辞儀すると厨房に戻っていった。
ちらりと周りを見ると、桃色の髪で笑顔が素敵な女性や美形な男性、紫色の髪の和風な女性が接客をしている。
厨房には緑の髪のこれまたイケメンな男性がケーキにクリームを盛り付けているところだった。
双(美男美女が多いなあ…)
少し気圧された双葉だが、龍の視線に気付いて向き直った。
双「どうかしましたか?」
龍はというと、少し悩んでいた。
今日、双葉とともにあちこちまわっているなかで、なんとも言えない感情が生まれていたのだ。
中河の言葉が頭を過る。
-色恋とかねーの?-
…恋、ではないと思う。
そもそも恋するほどの仲でもない。
では、この気持ちはなんだろう。
龍「なんでもないですよ。すみません」
と誤魔化して、この場はやり過ごすことにした。
店「お待たせしました。チョコレートケーキでございます」
二人の席に、先程の美形な男性がケーキを持ってきた。
名札を見ると、チーフと書いてある。
双(チーフ…なんだ。すごいなあ)
ケーキは当然美味しかった。
双(これは、繁盛するよね)
食べ終えて一息ついていると、龍が話しかけてきた。
龍「楽しんでもらえましたか?」
双「はい!とっても!」
龍「良かった」
そんな二人を、オーナーは厨房からにこにこと見つめていた。
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