バレネタフルコースの見本2(炬渦さま)


 オレには大事な友達がいる。小さい頃から何をやってもダメで、だから同年代の子供達にはバカにされたりいじめられたり、友達なんかぜんぜんできなくて、でもそのおかげで彼と友達になれた。群れる事が大嫌いな、オレの大切な幼馴染。強くて怖くてとても有名な彼がオレと幼馴染だということは、誰も知らないのだけれども。




 外はぽかぽかといい天気で、授業は退屈。そんな凄く平和であたり前の日常。ついこの間事件があっただなんて、まるで嘘みたいだ。だけど嘘じゃない。六道骸が起こした、あの黒曜での事件。皆が傷付いた、事件。あれから一週間がすぎていた。
 リボーンが来て、マフィアだなんだと言われて。もちろんマフィアのボスなんて嫌だったし、それは今も変わらない。だけどアイツが来てから友達もできて、ダメツナってバカにされることも減ってきて、毎日が楽しくて……オレは、わかってなかったんだと思う。マフィアの世界の危険さを。たとえオレがどう思おうと、ボス候補にされることで降りかかる危険を。何も理解しないで、ただマフィアなんか嫌だと言うだけで、それでもこんな日が続けばいいなとどこかで思っていて……そして、傷ついた。皆が。大切な友達が。巻き込まれた……大好きな、幼馴染が。
 小さい頃から凄く強くて、群れが嫌いで、誰かを咬み殺してばかりいた彼。そんな怖い彼だったけど、オレには優しかった。君は群れてないからね、なんて言って、弱い人間は嫌いで誰かと一緒に行動することだって大嫌いなのに、オレが一人でいた時はよく遊んでくれた。
 はじめはただの気紛れだったのかもしれない。けれど、いつも一人でいたオレに、呆れながらも付きあってくれた。幼いオレにとってたった一人の友達だったから、オレにとっては本当に特別な存在なんだ。
 ……そりゃ、よく咬み殺されもしたから、怖いことには違いないんだけどさ。それでもやっぱり大切で、特別な人。
 ふと、中学に上がる前のことを思い出した。小学校を卒業して中学に上がる前の春休み。いつもはオレが一人で外にいる時にどこからか現れる彼が、珍しく電話をかけてオレを呼び出した時のことを。






「お、遅れるーッ!!」

 待ちあわせの時間まであと十分。でも彼のことだから、きっともっと早く待ちあわせ場所に来ていると思う。遅れたりしたら、絶対に咬み殺されるだろう。はずれることはないだろう想像に、オレは思わず身震いした。とにかく急がないと!!
 呼び出されたのは人のあまりこない寂れた神社。群れ嫌いの彼らしい。そんなことを思いながらの全力疾走。あまり足の速くないオレだけど、ようやく神社の境内が見えてきて、なんとか間にあいそうだと一安心した。
 それ程長くない階段を駆け上がる。もう待ちあわせ場所につくことと、間にあいそうだという安心感。きっとそのせいだ。あと二段というところで、オレは階段に蹴つまずいた。

「うわっ!?」

 ヤバイヤバイヤバイッ!そうは思ってももう遅い。グラリとオレの体は後ろに向かって傾いでいる。この後くるだろう衝撃に、ギュッと目を瞑った。けれどその衝撃はなく、かわりにグイッと右手を引っ張られる感触。

「何やってんの」

 呆れたような声に目を開けば、目に入った色は黒。慌てて顔を上にあげれば、そこには声の通りに呆れきった表情。

「りぃ君!」

 幼馴染の雲雀恭弥……りぃ君がそこにいた。
 りぃ君というのは、はじめて会った時に彼が『ヒバリ』と名乗ったせいで、それを名前だと勘違いした幼いオレが呼びやすいように付けたあだ名だ。さすがに今はちゃんと名前を知っているけど、特に問題があるわけでもないから呼び方は変えていない。
 小学校も高学年になり、一人で外で遊ぶことも少なくなったことから会うことが少なくなった幼馴染。久しぶりに会えたことが嬉しくて、オレの頬は自然と緩む。
 りぃ君の顔は相変わらず呆れたものだったけれど、オレはやっぱり彼に会えたのが嬉しくて、オレを支えてくれている彼にギュッと抱きついた。







炬渦さまの小説の――と伸ばし棒での表現部分が、PDF変換時に不具合を起こしたため、漢字の一が連続したような表示となっておりましたことをお詫びいたします。


ページ構成で言うと、14Pが私の小説。4Pがてつをさまの四コマ漫画。残りが炬渦さまの小説です。
私が小説二本、炬渦さまが小説三本となっております。

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