バレネタフルコースの見本1(紗奈)
バタンッ! と大きな音を立てて教室の扉が開いた。
「何だ?」
教師が誰何しようとそちらを向いたが、その先に居た黒ずくめの男たちに、教師は口を噤んだ。
教室へと入ってきた数名の男たちが拳銃を手にしていたからだ。
本来ならありえないだろう命の危機に教師の頬は引き攣る。
何が起きてこの事態になったのか、と焦りながら生徒たちがざわめき始めるのを止めようと引き攣った表情のまま静かにするように伝えようとする。
ざわつく生徒たちを睨むように見据えた男たちに、生徒たちも事態を悟って黙り込む。
男たちは全体を見渡して目当ての人物がどれか分からなかったのか、口を開く。
静かな声ながらも教室中に響く。
「沢田綱吉はいるか!?」
名指しであったことに、クラスメイトたちの視線がソッと集まる。
ここ最近の騒動の中心であり、クラスの人気者たちに囲まれていることが多い少年へ。
その視線の先を探った男たちは、綱吉を見つけた。
「お前か!」
ガンッと詰め寄ってくる数名。
最初に教室内に入った全員が綱吉に近寄ってくる。
しかし、それ以外にも男たちが扉の辺りに沢山いるのが見えた。
いつもであれば、ここらへんで「10代目に何をしやがるー!!」と獄寺が騒ぐのだが、彼は本日お休みをしている。
実家のあるイタリアへと一時帰国中との連絡が朝のHRでされていた。
実際にはダイナマイトの補給のため、ではあるが、それは綱吉以外知らない。
獄寺と同じように、綱吉の傍にいつもいる山本も本日は学校に来ていない。
野球部の練習試合で、他県に遠征中なのだ。校内でも力の入っている部活だからと風紀委員からも助成が出ている今日の遠征は、絶対に勝ってこい、と風紀副委員長から出発前にお言葉があったくらいの大きな試合のようである。
事態を収めることができる人が誰一人としていない状態で、綱吉は困ったように彼らを見上げた。
「えっと、オレに何の用で……」
「しらばっくれるな! ボンゴレ10代目!!」
あぁ、やっぱりそれが理由か、と諦めたように綱吉は溜息を吐いた。
黒ずくめの姿を見た瞬間からマフィアだろうと、綱吉の命を狙って現れたのだろうという超直感が示したことが正解だった、と。
「イタリアマフィア最大のボンゴレを継ごうという奴がこんなジャッポーネのガキじゃな……」
ボンゴレももう終わりだな、と言いながら綱吉を殴りつけた。
その攻撃で男たちに振り払われるように弾かれた綱吉が教室の扉の方へと飛んでいく。
クラス内でも一二を争う程に軽い綱吉は簡単に吹っ飛んでいく。
クラスメイトたちが悲鳴を上げる中、綱吉は教室の扉の所で外から入ってきた人影に軽く受け止められた。
改行を多めに足してあります。
これ、ツナ子です(バレネタフルコース中で唯一のにょた)
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