PA・N・CHUの見本(紗奈のみ)
(前略)
「10代目〜」
予定のお時間です、と執務室に現れた獄寺は綱吉の姿が無いことに気付いて首を傾げた。
すれ違ったか?
――と、デスクの上に取り残された布に気付いた。
「なんだ、これ……」
手に取り広げてみればパンツの形をしていた。
黒いボクサーパンツが何故10代目のデスクの上に取り残されていたのか。
「まっ、まさか……」
これは10代目の!?
「……あれ? 獄寺君、もう時間?」
少し席を外していた、といった雰囲気で執務室に入ってきた綱吉が獄寺に気付く。
獄寺の側へと駆け寄ると獄寺が手にしていた物に目を見開いた。
「ご、獄寺君!」
奪い取るようにして獄寺の手から取り上げたそれを握り締め、恐る恐る聞いた。
「み、見た?」
上目使いになり獄寺を窺う綱吉に、慌てたように手を振り。
「す、すみません!」
獄寺は頬を赤くして視線を逸らす。
あちゃ〜、と失敗したと呟く綱吉は苦笑を浮かべる。
「これ、恭弥さんから貰ったんだよねー」
恭弥さんのパンツと同じ形でパソコンクリーナーなんだよね、と早口で説明する。
骸が押し付けたとか、雲雀が綱吉のパンツと同じ形の同じ物を持っている、だとかを矢継ぎ早に言う。
獄寺が口を出す隙を与えずに話を全て終わらせ。
「約束の時間だよね、オレ行くから!」
止める暇無く綱吉はポケットにクリーナーを突っ込み執務室を出ていった。
取り残された獄寺はしばし呆然とし、ヘナヘナと座り込んだ。
見えなくなった綱吉の背中に向けて嘆いた。
「じゅ、じゅうだいめぇ……」
(オレ、ヒバリの野郎の趣味なんて知りたくなかったんすけど……)
綱吉が見えなくなった執務室に取り残された獄寺は黄昏れていた。
(後略)
何かわかりやすい所、とか思ったらここでいいっか、みたいな。
改行多めに取ってあります。
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