京子と帰ることにしたナギサは、美味しいケーキ! などと笑いながら京子の案内についていった。
 その二人から100mくらい離れた場所を電柱に隠れながら付いてくる綱吉。
 ヒットマンのオレからしたら、バレバレもいいところだ。
 そんな様子も楽しみながら話していれば、後ろの様子が変わった。
 どうやら獄寺が騒ぎ立て始めたようだ。
 気配の動きからすれば、山本が何か言ったかやったかして、食ってかかったようだ。

 あまり騒ぐと京子にバレるぞー!


「歩き疲れただろ? お茶してこうぜ」

 奢るから。

「ケーキ、この店美味いんだろ?」
「えぇ!? 悪いよ!」
「付き合ってもらっちまったしな」

 これくらいしないとダメだろ。

「それに、京子みたいな可愛い女の子とお茶するのに割り勘はカッコワリィだろ」

 オレの顔を立てると思って、とお願いしてみれば、笑って頷いてくれた。

 さて、バレないように店入ってこいよ〜?

 笑いを堪えながら喫茶店へと入っていった。
 京子お勧めのお店なだけあって、可愛らしい内装をしている。

「特に何がオススメ?」
「えっと、私はミルフィーユが好きかな……」
「じゃ、それ二つで」

 サックリした生地に、挟まったクリームが苺とハーモニーを奏で…………ぁ、こんな説明いらないか。
 まぁ、オススメなだけあって、確かに美味い。
 一緒に注文したコーヒーと紅茶を飲みながら軽く談笑を続ける。

 その少し離れた場所から凄い視線を感じる。

 まぁ、気持ちは分からなくも無いが、そこまで睨まれると流石に、な……


「ぁ、クリーム付いてる」

 生クリームが頬に付いてしまっていることに気付いて指を伸ばし、拭ってやる。

「何てことすんだよ! ナギサ!!」

 照れて笑ってありがとうと言いかけた京子に、綱吉は叫んで現れた。
 まぁ、突っ込みってこういう場面での存在価値高いよな。

「よ、ツナ。お前はここのケーキ何が好きだ?」
「何って……今さっきショートケーキ食ってたけど……って、んなの関係無いだろ!」

 付き合ってるわけでも何でもない女の子の頬のクリーム指で拭って、あまつさえそれを口に運ぶってどういうつもり!!?

「京子ちゃんに迷惑だろ!!」

 立石に水とばかりに捲し立てた綱吉に苦笑を返す。

「これくらい大丈夫だろ。な、京子」
「ぇ? ぁ……梛沙君…………」

 困ったように頷いた京子に、鬼の首でも取ったかのように綱吉が怒る。

「迷惑してるだろ!」
「んなに怒鳴んなよ。わぁったわぁった」

 オレが悪いんだろ、可愛い付き合いをしてる従弟と彼女をからかうようなことをしたから。

「ツナが今度京子と一緒に来て、デートをすればいいだろ」

 週末辺りにでも、さ。

「何言ってんだよ、ナギサ!!」
「ちなみに、お前に拒否権は無い。断るんなら、京子、週末もオレとデートしようぜ」

 ニィィっと笑って見せた梛沙に、京子がおろおろしている。
 ま、これくらいやれば少しは進展するだろ、こいつら。
 見てて楽しいけど、あまりにも進まなさすぎてつまんなかったんだよなぁ、この二人。

「週末の予定は全部クリアしておいてやるよ」

 存分に楽しめ☆ と伝票を手にして立ち上がる。
 そのついでに綱吉を代わりに座らせる。

「ってことで、京子、今日はありがとな」

 またなぁ〜! と手を振って二人を置いて店を後にしたのだった。






 翌朝、起きたら戻っていた。


 チッ、今日も楽しくかき回そうと思っていたのにな……


 つまんねぇ、と思いながら、寝こけている綱吉を起こそうと銃に手を伸ばした。






ってことで、終わります。
もう書きたい場所も無いし、入れ替わりはこれで終わっちゃおうかなぁ……




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