2.



「ここは、一体……?」
「お払い箱だよ」
「なに?」
「お払い箱。使用価値がなくなってしまった空想上のキャラクターが行きつく、机の中の引き出しや、ごみ箱みたいなところだ。あんた、捨てられたんだよ」
「ちなみにこっちがドラゴン狩りで、オレが管理部の……うん。長いから管理部の男でいい」
「ごみ箱!? ちょっと待て、それは困る!! 俺にはソウシロウと一緒に時間の針を動かしに行くっていう大事な約束があるんだ!!」
「誰だよソウシロウ」
「設定としては主人公のアシュケナージと対立関係にあった組織のボスのソウシロウの片腕だ。和解した二人を見届けた俺は、最後の決戦に向けて世界の塔にある時計の針を動かして、暗黒の深部(ダークデップス)の汚濁に身を投げて時間を稼ぐ、という大事な役割があるんだ!!
「壮大だな」
 ドラゴンが遠い目になり、
「なるほど、捨てられるはずだよな」
 と管理の男が力強くうなずく。
 半ば腰を浮かせた状態で興奮気味に話していた男は、二人の反応を見ると、カタン、と軽く音を立てて腰を落とし、他の面々の顔を眺めてぽつり、

「そう、なのか」

 と切なげに零した。

「どうしてだ……。俺は今まで作品の中で、物語を盛り上げる為に脱ぎもしたし、何度も風呂に入ったのに。そうまでして体を張って、最後の最後は本当の意味で体を張って花を飾るようになっていたはずなのに、どうして……」
「一番多い原因は、キャラクターの増やしすぎだろうな。オレもそれで捨てられたぜ」

 ドラゴンは彼の肩に手を置いて言う。


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