7.


 さらり、しゃらり。

「え、今度は全員!?」
「いや……!」

 突如として再び光が一同を包み込む。
 その大きな光はひとりを外して強まり、ロングコートは叫んだ。

「おい、ご老人!!」
「うむ。時間が来たな」

 ただ一人。光を帯びることなく子供の傍らで片膝をついている老人に、堪らずといった様子で掛けられた声に、彼は満足そうに笑うと、

「これもまた人生。達者で暮らせよ」

 そうしてぽつり。
 光の砂が崩れた部屋の中に、老人が取り残された。
 ここは賢者の部屋。
 こんこんというノック音が聞こえる。
 次はだれが訪れたのだろう。
 寂しい時間のなかに満たされた空気を肺いっぱいに含んで、老人は傍らの椅子に腰かけたのだった。


2017.03.02 FIN



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