池と鞠


鞠ガ落チタ
池ニ落チタ

水面が弾けて
大きな口が開く

水の皮に包まれた鞠は
それっきり

手を伸ばしても
見えないから
伸ばした手は
ゆっくり膝の上に帰る

こぽこぽ こぽこぽ
そんな音を聞きながら
きっと鞠は沈んでひとり

それでも
君の元には帰らない
ああ、帰らない。

私はそれを
まじまじ見るけど
それっきり

鞠ガ落チタ
池ニ落チタ

赤く腫れた瞼のことを
知らないままに



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