影法師


欲を叫ぼう
空気を破るように
鋭い声で 喉を潰し

手はのばさない
遠くとも強く誓う
闇に溶ける 影法師



夕暮れの駅前
大通りの木々の
中がざわめいている

都会暮らしの
行き場なき雀が
群れ鳴いているんだ

か弱く息をする弱者を
嘲笑い転げ回る
そんな薄汚さが
浮き彫りになる弱者に
なってでも欲しかったけれど
ぼくの存在が鼻につく


欲を叫ぼう
空気を破るように
鋭い声で 喉を潰し

ただの一時の
居場所が崩れる
儚さを 恐れてる




髪の毛ひとつほどの
細く頼りない繋がりよりも
鉄と磁石のように強くひかれあう
――目に見えないそんなものが、



欲を叫ぼう
空気を破るように
鋭い声で 喉を潰し

ただの一時の
居場所が崩れる
儚さを 恐れてる

欲を叫ぼう
空気を破るように
息振り絞り 枯れた声で

手はのばさない
汚れ満ちたぼくは
君に照らされ 消えてしまうだろうから

欲を叫ぼう
空気を破るように
鋭い声で 喉を潰し

胸が砕けるほど
切ないその背中に
柔らかく溶ける 影法師




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