幻覚


節くれだった梢と
土より空より濃い黒に
鮮やかさなどありはしない
探す面影もありはしない

白昼の賑やかさと
目を霞ませる木漏れ日とが
連れてくる終わった時間を
避けて星の時を選び取る

彼や彼女それから彼に
貰った慰めを
糧にできないまま

この真ん中で待っている
枯れて咲く日を焦がれる桜道
乾いた風に煽られて

この真ん中で待っている
枯れて咲く日を焦がれる桜道
遠い昨日が木霊する



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