動悸

振り返れば襖が
口を開いて閉じて私は
とっぷりとした闇の中

隙間から漏れている
日常が教える現実は
うたかたの夢に見えていた

あなたの手の中で軋む
ベルトの意味は
蹴飛ばしたティッシュ箱の行方は
目の中で蘇るたびすれ違い
意味と理解を
やっと ここで


それでもカーテンは揺れる
汚れと影とを振り分ける
澄んだ空が怖くても
美しさが
善悪の善だと
眩むほどに私を照らす

手元の刃物に気づいた
痛い白昼の色彩を
すべては誤魔化せなくて
虚ろなまま
忘れて笑いなおす
忘れなおせず笑いなおす


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