孤高の走者


頭の中で弾けた
我慢の塊の
カケラが酷く優しく
血管の中を
ガリガリ引っ掻き回して
傷をつけていくんだ ゆるやかに

蜃気楼の向こうに見えた
誰かの叫びの
周波数が二重に連なり
ぼくの目頭を
熱くさせ震わせているよ
穴に落とされたような 浮遊感がある


風を切るような恐怖の
次にあるかは分からないけれど
安堵の先の刺激の先の希望に会いたい


後ろは絶壁。でも――
時間だってそうでしょ?
過去へは戻ることはできないから
歩け歩け 死に物狂いで

靴は履いてない。だけど
今までと変わりはしないでしょ?
と癒えない胸に刻まれた傷は言う
それが強みだ さあ生き急げ

地図は白紙。けれど
道標ならすぐ側に共にあるから
と古傷に戦くぼくはぼくに言おう
痛みはあるけど 君とまだ見ぬ君が


いるから、擦り切れた足は進む





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