蛇口と花


そっと捻る
蛇口の駒のすき間から
溢れ出した水を
見つめ続けていた

管を上がって
落ちるべき場所へと
辿り着けずにいる
姿に声もない

砕け散ったかけらの
気持ちを言葉にするには
僕にはどうやら
心が足りないようで
搾り出す事もできない
やるせなさは
時を帯びて
少し少し
乾いてゆく


慟哭あげる水の
真ん中に咲く花
与えられた潤いに
堪えられずにいる

こぼれ落ちた水の
傍らに根差せず
溺れて朽ちる花弁に
僕は触れないまま

慟哭あげる水の
真ん中に咲く花
与えられた潤いに
堪えられずにいる

こぼれ落ちた水の
傍らに根差せず
溺れて朽ちる花弁を
僕はただ見守る



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