外道@


【輪廻様リク/狛枝+日向×苗木/日向の部屋】



別に日向くんでなければだめ!というわけではなかった。ただこのゆったりとした午後の昼下がり。
退屈を感じた僕は久しぶりに日向くんでも誘って散歩でもしようか、なんて考え彼の部屋を訪れただけである。
この時間を潰せれば別に誰でもいい、言い方を変えればそういうことになるが確かにそうなのだ。正直、誰でも良かった。


そう思いながら日向くんの部屋のドアをノックし「入るよ」と声をかけ中に入れば、あれれれ。


殺風景の彼らしい部屋がそこにはあり、ただその部屋の主がいない。つまり不在。


なんと。残念に思いながら何をするでもなく部屋に入り一応「日向くん?」と声をかけてみる。見る限りいないが、一応、だ。
しかしやはり見た通り日向くんはいないらしく返事など返ってこなかった。…なんだ、本当にいないのか。
久しぶりに日向くんとゆっくり話したかったのだがこれでは仕方ない。また誰か誘ってみようか。
諦めて部屋を出ていこうとする。しかし、その際にふわりと鼻腔をくすぐるなにか。…なんだろうこれは。思わず立ち止まる。
「…良い匂い」
ふんふん、と部屋の匂いを嗅ぐ。なんだか懐かしいというか、なんというか。とても良い匂い。あぁ、これはあれだ、そう。
(…日向くんの匂いだ)
お日様みたいな彼の匂い。その匂いに導かれもう一度中に入っていき、一番その匂いが濃厚な場所へとたどり着く。
ぼふん、と白いシーツの海。柔らかな感触。あぁここだ。このベット、日向くんの匂いだ。
自分は匂いフェチというわけではないが結構匂いには敏感な方だと思う。誰の匂いというのは判別できる程度には敏感だ。
そのままシーツの海に浸り、何をするでもなくぼおっとした。自分は割と日向くんの匂いが好きだ。お日様みたいでぽかぽかするのだ。
心まで暖まるような気分になり誰が見てるわけでもないし、暫くそのまま匂いに浸ってみる。ああ、気持ちいい。



「…」
「…」
「…」
「…」



あれ。ふと視界に見覚えのある顔が見えた。いやいやそんな馬鹿な、だってここは日向くんの部屋。彼がいるわけがない。そう、彼が…、



「…」
「…苗木くん、何してるの?」
「…」



彼、狛枝、くんが……。いるわけ……。



「…待って、おかしいよ」
「何がだい?」
「いやおかしい。え、なんで、え、え」
「どうしたの?」


がばり!と勢いよく飛び上がる。日向くんのお日様みたいな匂いで眠りを誘われていたがそれどころではない。
いや実はまだ匂いに酔っていたいが、人の目がないと思っていた場所に突然それが現れたのだ。そう、人の目。

「どこ行くのかなあと思って着いてきてみたら、まさか日向くんの部屋だとはねぇ」

にこにこと笑いながら部屋にいたのはまさかの狛枝くん。その言い方だと随分前から僕のあとを着けていたようだ。
いつの間に、と驚いていれば狛枝くんを首を傾げながらベットに座り込んでいる僕を不思議そうに見た。

「狛枝くん着いてきてたの…」
「うん。で、ベットでナニしてたの?」
「…」

日向くんの匂いを嗅いでいました、なんて、言えるわけがない。そういう性癖だと思われても嫌だ、男が男の匂いを嗅ぐなんて気持ち悪いだろう。
いや先に言っておくが別に僕はそういう趣味はない。男ではなく普通に女性が好きだ。今回日向くんの匂いをベットで嗅いでしまったがそういう性癖はない。
あれ、今考えたら僕結構変態チックなことしてた。ああ、死にたい。一人自己嫌悪に陥り暗くなる僕の心情など狛枝くんが察せられるわけもなく。
きょとんとした表情で見返してくるだけだった。

「まさか苗木くん、日向くんのことが好きなの?性的な意味で」
「ぶっ」

そしてあろうことかそんな質問を。性的な意味ってなんだ、いや分かりたくもないがとにかくそういう誤解はやめて頂きたい。
すぐに否定し「違うって!ただ匂いが…」と言い訳すれば狛枝くんが「匂い?」と首を傾げる。いやもう正直に言ってしまおうか。
そういう変な意味で捉えられるよりはマシな気がする。あれ、でも人の匂い嗅ぐためにベットに寝転がるっていうのもまずくないだろうか。
あぁ、どっちにしろまずい。泣きたくなる。

「あれ、大丈夫?」
「や、大丈夫…その、違うんだ狛枝くん」
「何が?匂い嗅いでたこと?」
「いやそうなんだけど、……あれ」
「ん?」
「……」

落ち込む僕に狛枝くんが心配するかのような表情で声をかけてくれたのだが、ちょっと待て、今この人なんて言った。
聞き捨てならない単語を聞き取り一瞬止まり、すぐに彼の顔を見た。すっごい心配してます、大丈夫ですか、そんな表情をしている狛枝くんだけれども。ねえ。

「…匂い嗅いでた?」
「あれ、嗅いでたよね。『良い匂い』とかも言ってたし」
「……」

なにこの人知ってたの。聞いてたの。あぁそうか結構前からあとを着けていたのか。室内に入ってからの行動を見ていてもおかしくはない。
どうしよもない気分になりながらもバレているのなら、と逆に開き直り「そうなんだよ」とシーツを叩く。
ぱふぱふ、と柔らかなシーツがなにかといった風に視線で訴えかけてくる狛枝くんに僕はやけくそになりながら言った。

「このベット、日向くんのお日様みたいな匂いしたから、その」
「日向くんの匂い?」

わけが分からないといった風に言われた。少なからず自分よりは変人であると思っていた狛枝くんのそんな反応に傷付いたが、頷いて手招きする。
彼は素直に従い片足をギシリ、とベットに沈ませ、そして匂いを嗅がせてみる。半ば強引になりながら。後頭部を押さえ付けたのはここだけの秘密だ。

「…あ、ほんとだ」
「あれ、分かる?」
「うん。これ日向くんの匂いだね。でもここで日向くんが寝たりしてるんだから当然でしょ」
「…」

わあ当たり前のことを狛枝くんに言われた。なんだか自分が変態みたいな気がして変に恥ずかしくなり、カアアと熱くなる頬を逸らす。
そうだよな、ここは日向くんの部屋なのだ。彼の匂いがしたところでおかしなことなどない。それなのに僕は…と人の目がないからといってした行動に本気で後悔した。恥ずかしすぎる。
けれど狛枝くんはそんな僕を嘲るでもなく顔をあげ、僕の肩を持った。なんだ?と思っていればすぐにぐいっと引き寄せられあっという間に狛枝くんの胸の中。
え、と硬直する僕に対して狛枝くんはそのままベットに僕を押し倒す。

「…えっと、なにかな狛枝くん」
「苗木くんの匂いはどんな匂いかなあと思って」
「は?」

あれこの人何言ってるんだ。訝しげな表情で彼を伺えば、何故か僕に向かって降りてくる顔。ちょ、狛枝くん!?
叫ぶ間もなく彼は僕の首筋に顔を埋め深く息を吸った。すう、と空気が動くのがむず痒くて「ひっ」と喉から変な声が出てきてなおさらなんかもう。

「ちょ、狛枝くッ、ひえっ」
「…苗木くん良い匂い」
「え、え、あ、そう…」

すんすん、と犬みたく僕の匂いを嗅ぐ狛枝くん。うわなんだこの人、とは思ったがよく考えろ自分。さっきの僕もこんな感じだったんじゃないか。あぁ、嫌だ考えたくない。
ぶんぶんと軽く頭を振り思考をとっぱらい、僕もやってたことだしこれを言いふらされてはたいへんだという変な焦りが僕の体を動かなくさせた。
よって狛枝くんは好き勝手匂いを嗅ぐ。首筋から段々降りてきて、鎖骨らへん。綺麗な鼻先が肌を撫でる度にびくん、と体がはねる。くすぐったい。

「日向くんの匂いと苗木くんの匂いが混ざってる」
「へ、へえ」
「どっちも良い匂いだよ」

笑っているのが声音で分かる。まったく、僕の匂いなんて嗅いで何が楽しいのだろう。まぁそれを言ったらさっきの僕も(以下略)
やられる側はたまったもんじゃないな、今度からはやらないようにしよう。心の中でそっと決意をしうんうんと頷いていれば、狛枝くんも好き勝手やり始めた。

「つめたっ」
「あぁごめんね苗木くん。僕の手、冷えやすいんだ」
「あぁうん、大丈夫だよ」
「そっか、良かった」

にこりと微笑みまた僕の肌に手を這わす。するすると優しげな手つきでってちょっとストップ狛枝くん。

「何してるの?!」
「匂い嗅いでるだけだよ」
「いやいやいや」

いつの間にか服を捲り上げ、胸板らへんに手を這わしているではないかこの人。
これには流石に抵抗せざるおえなくてばたばたと暴れたが、狛枝くんは僕の上に乗っかって体重をかけているため動けない。
これはやばいぞ、静かに冷や汗が流れる中で狛枝くんはきょとんとした顔で僕を見た。

「別に苗木くんと同じことしてるだけだよ?」
「ふっ服めくる意味っ」
「この方がわかるから」

そう言いまた顔を伏せる狛枝くんは、そっと鼻先、唇を肌の上に乗せた。つう、とゆっくりと這わすそれは少し濡れているような気がして体を震わせる。
き、気持ち悪い。こんなの匂いを嗅ぐというか、まるであれじゃないか、そう愛撫。そう思ってしまう程の優しげな手つきについ顔を赤くさせてしまった。不可抗力。
そのまま狛枝くんは肌を堪能し、ついには胸板にちょこんとついた二つの果実。緊張のせいかぷっくり膨れ上がった乳首が狛枝くんの目に止まった。

「あれ、勃ってる」
「たッ…」
「美味しそう」

勃ってるなんて言い方されてしまうとものすごい恥ずかしい。反論しようと口を開いたが狛枝くんがそれを見て“美味しそう”なんて言ったのだ。
何言って、わけがわからず戸惑う僕などに説明などわざわざしてくれるわけもなく、そのぷっくり立ち上がった乳首にそっと唇を滑らせたのだ。
その瞬間わけの分からないものが体中を巡り、シーツの海を蹴り上げた。は、あ。

「ま、まって!」
「はむ」
「ひッ」

挙句の果てにその乳首を唇に加えたのだ。柔らかな感触に身を震わせたが狛枝くんはそのままヌメリと舌をだし舐め上げた。
下から上に、上から下に、何度も何度も往復させる。

「は、あ、あ、」
「美味しい」
「んなわけッ、ひッあ、ふッ」

あれ、匂い嗅ぐだけじゃないの?もう趣旨絶対変わってる。文句はたくさんあるはずなのに乳首を舌で転がされてしまうとうまく口に出てこなくなる。
もう片方の乳首もきゅっ、と人差指と親指で挟まれそのびりっとした痛みに顔をしかめた。力強いよいたいたい。
乳輪をなで上げ急に突起をつまみ上げ、そして上下に激しく転がす。何が楽しいのか分からないがそんなことを繰り返してくる内に、僕の息もあがってくる。
おかしい、この感じ。頭がぼうとして静かにやってくる電流はなんなのだろう。あ、まただ、背筋に這い、そして中央へと集まっていく熱。

「っは、やあ、ひゃ、ひいッ」
「こりこりしててさくらんぼうみたい」
「ああッや、だって!こまえ、らくッ」

甲高い声がまるで自分のものではないよう。わけの分からない気持ちよさに逃げようともがき、狛枝くんの肩を押す。足だって何度もばたつかせた。
けれどそれが逆に僕の足の間に狛枝くんの足をいれるきっかけになってしまい、膝小僧で股間をぐりり、と踏まれた時。その時。もう。全身に、とてつもない刺激がやってきて。

「ッ〜〜〜〜ああッ」
「こっちも勃ってたんだね」
「ちょ、やらあ!いや!や、め、ふざけッふああッ」
「足は好き?もっとぐりぐりしてあげる」
「好きッなわけッひやああああッあッふッ」

股間をズボンの上からぐりぐりと刺激されればそりゃあ生理現象感じてしまう。びりりとした快感がやってきて脳の奥を甘く支配していく。
だめだ、このままだとだめだ。は、は、と荒い息でなんとかしようと考えるもののもはや力が入らず狛枝くんにすがりついているような状態。

「ああ、可愛い、どうしよう、とっても可愛いよ苗木くん」
「かわ、いくないッあふ、うああッあッ」
「どうしてそんなに可愛いの、ゴミクズである僕にでも分かるよう説明してよ、このお口からさ」

乳首を弄っていた片方の手で今度は僕の口内を弄り始める。中に指先を突っ込まれ、舌を指と絡めあわせてくる。
うまく口が閉じられなくなり喘ぎ声も隠すことなど出来なくなってしまった僕はひたすら甲高い声を漏らすしかなかった。

「あう、うううッひたひっぱんらいれッ…」
「ああ、あったかい…苗木くんの口の中あったかいよ…ああ…」

狛枝くんは狛枝くんではふはふと呼吸を繰り返し若干涙目になっている僕を見てハァハァと息を乱している。
目をどこかイっちゃっているような感じでもしかして絶望状態に戻った?と疑ってしまうくらいやばい表情をしていた。
もう匂いを嗅ぐ気なんてないなんてことは明らかだし早く逃げ出さなければ、と思っていても相変わらず股間に押し当てられた膝小僧は快感を引き出してくる。
パンツの中は恐らく先走りやらなんやらでどろどろなんだろうな、眉間にシワを寄せ嫌な想像をしてしまい目眩すら感じてしまいそうだ。
ああまた力を強めてぐりぐりと、ほんと勘弁してくれ。

「ハァ…苗木くんの匂い」
「はあッ、あうッひいあッやあッうやあッ」
「ここから出る液体は、どんな匂いがするんだろうね」

そう言いながら膝小僧をリズム良く打ち付けてきて、それはもう快感のピークに達してしまいそうで、あ、あ、あ。

「ひ、はァっ…!」

ぞくぞくぞくぞくう!体がシーツから浮き背中が綺麗なアーチを描く。ぶるぶると襲い来る快感の波に涙が耐え切れず出てきてシーツにこぼれ落ちた。

「ひはあああああッ、あッ、う…」

イった。それはもう、パンツの中で盛大に。気だるさと男の足と手によりイってしまったというショックが静かに襲いかかってきて呆然とする僕に狛枝くんは何をしたかというと。
ただ淡々に僕の服を脱がす、そういうことだった。もうそろそろ本気で怒ってもいいだろうか。

「…」
「いて。ひどいなあ、蹴らないでよ」
「狛枝くん…いい加減に、ひあッ」
「ああ汚れちゃったね。ごめんね、すぐ脱がしてあげる」
「脱がさなくていいよ!!」

この人だめだ人の話全然聞いてない。つい顔を真っ赤にして怒鳴ったが、その前にするりと足から抜け落ちていくズボンとパンツ。
つう、とひいた白い糸が確かにイってしまったあとなんだと示しているようで恥ずかしさのせいで全身に熱がまわっていく。こま、狛枝くんに僕、ほんとに。
じわじわと実感が湧いてきて頭の中をぐるぐると回転させる。男に、男に、男の僕が、イカ、されて。しかも、日向くんの、部屋、で。




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