時系列も野球事情もぶっ飛ばして、一ノ瀬塔哉の誕生日を祝いたいその5。いっぱい食べる君が好きなんです。フリーダム外野最後のお一人七井さん。

※時系列等はぶっ飛ばしてお考えください。成人です。

「Early happy birthday,一ノ瀬サン」
ちょっと早いけど、と前置かれたまま誕生日を祝われる。目の前の焼網の上で、肉が焼けるのを待ちながら。
ぱちりとまばたきをすると、首を傾げられた。「1月11日じゃなかっタ?」
「あっ、うん、そうだよ」
そっか、もうすぐか。思わず呟くと、忘れてたんですかとカタコト混じりに聞かれてしまう。日本に住んでずいぶん長いだろうに、と聞かれた時、クセになったと本人は答えていた。
忘れてたと笑いながら、肉をひっくり返す。いい匂いが周囲に充満している。七井が焼けたであろうカルビを箸で取った。トングを使えと一ノ瀬は言うが、気にしない様子でタレと絡めて白米に乗せる。おかわりしたてのご飯はつやつやと輝いていた。
そこまで人に言われることもなくなったのか、近頃見る彼はサングラスをかけていない。青い目を気にしていた彼は、今では立派に体育の先生として教職についている。七井=アレフトという名前の通りハーフである彼が、主将であった一ノ瀬塔哉と焼き肉を食べにくるのは、これが初めてではなかった。
よく食べることはお互いに高校生の頃から知っていたのだが、成人して数年後、七井が誘ったのをきっかけに、時折こうして腹いっぱい食べるために集まるようになった。二人とも、食欲は若い頃とそう変わらないのであった。
「だかラ、今日はオレがおごりマス」
お肉とご飯を一緒にかっこんで、もぐもぐと咀嚼をする。気持ちのいい食べっぷりだと、一ノ瀬は思う。そしてその言葉に、後輩に奢らせるなんてと申し出を断ろうかと考えてしまう。
そんな一ノ瀬の意図を見透かしたのか、七井が今度はハラミを網に乗せながら口を開いた。
「Your birth day is coming up.それニ、人の金で食うメシはおいシイ?」
「……それ、わざと?」
「誰かガ言ってタ」
あなたもうすぐ誕生日でしょ、なんて。その通りなので、2回も言われてしまえば、お言葉に甘えようとしか思えなくなる。
半分外国人ゆえなのか、そうでないのか、七井はよくズレたネタを突っ込んでくる。今でも、だ。もう日本には慣れたんじゃないの。そう言えば、「日本語難しいヨ」と返され、けらけらと笑いながらゴチになりますと言ったのだ。

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