小説 | ナノ

 宣戦布告

崩落したセントビナーの住民をユリアシティに運び、シュレーの丘にあるセフィロトを操作してルグニカ平野がマントルに沈むのを止めることができた私たち。
アップルグミとオレンジグミが尽きてしまっていたため、ユリアシティに買いに来ていた。

買い出し当番は私。すべて買い揃え、待機していたアルビオールに乗り込むと、ルークを除いた全員がそこにいた。アニスが驚いたように私を見る。どうやら、私とルークが一緒にいると思っていたようだ。


「あれぇ?ルークは?」

「ルーク、来てないの?」

「ああ、俺がさっきまで一緒にいたんだが…途中で誰かに呼び止められてから見てないな」

「…私、呼んでくるわ」

「1人で大丈夫?」

あたしも一緒に行こうか?と立ち上がるアニスに、大丈夫、1人で行くわと軽く微笑み、買ったものを大佐に渡してからアルビオールを出た。



(呼び止められたって…、誰かしら。マクガヴァン元帥とか…?)


そんなことを考えながら軽く小走りしていると、少し遠くに見慣れた朱色の髪が目にはいった。誰かと話している。照れたように頭をかくルークの手を握り、握手をしていた。

ルークがふとこちらを向いた。私に気づいたらしい。ルークと話していたのは、少し遠くからでもわかるほど黒髪が綺麗で美人な女の子だった。軽く近くへ駆けより、声をかける。


「ルーク」

「ごっ、ごめん…呼びに来てくれたのか?」

「…ええ。……みんな、待ってるわよ」


いつもと違うルークの表情。何だか慌てているような、照れているような感じ。ルークをじっと見つめると、頬を赤く染めてふいっとそっぽを向いてしまった。

そんなやり取りをしていると、ふと視線を感じた。あの人が、じっと私を見てる。目が合うと、にこりと微笑まれて、あの、と声をかけられた。その微笑みに黒を感じて、無意識に身構えしてしまう。


「ルークさんと一緒に旅をされてる方ですか?」

「え、ええ。そうだけれど」

多少ひきつっているものの、唇だけでニコッと笑みを浮かべる。私より1つか2つ下くらいのその人は、頭からつま先まで私のことを舐めるようにみて、口を開いた。


「ルークさんとはどういう関係ですか?」


思わず目をぱちくりさせてしまった。ルークも目を真ん丸に見開いている。

「ど、どういう関係、って……い…一緒に旅をしている仲間よ。そう、仲間!」

ね、とルークに笑いかける。ルークも同じように、そうそう、仲間!と笑っていた。かなり焦ったように。女の子は、そうですかと笑ってルークの腕に触った。


「よかった。じゃあ恋人はいないんですね!」

触れていた腕を絡めて、私のことをみる。ふふっと、どこか勝ち誇ったような笑みを浮かべて。何だかそれが、イラっときた。顔に出さないように、何とか笑みをつくる。


「ずいぶん綺麗な顔立ちされてますけど、私、負けませんから」

「そう。ところで、ルークの腕を離してくれないかしら。みんなが待ってるの」

「ああ、ごめんなさいね引き留めちゃって」

お互い、にっこりと微笑む。間にいるルークは何だか訳のわからないように私とその人を交互に見ていた。

やっと、アルビオールに戻れる。別れの挨拶をして、アルビオールの方へと足を向けようとしたとき

「ルークさん、」


さっきまでずっと聞いていた声がして振り返ると、ルークが手を引かれ、あの子が背伸びをして、ルークの頬にキスをしていた。


「今度私の家にも来てくださいね!」



そう微笑んで、手を振る。ルークは何が起こったのかよくわからなそうに呆けながら、手を振っていた。










「ルークのばか」


アルビオールに戻る途中。少し止まって、そう呟く。聞こえていたらしく、ルークが振り返った。じーっとその碧の瞳を見つめる。


「…な、なんだよ」


よくわからないけれど、胸がモヤモヤする。あの女の子にキスされていた方の頬をつねった。



「い゛っ!!」



思いっきりつねって、手を離す。ちょっと赤くなってしまった。しかもルークはそんなに痛かったのか、目に涙をためていた。

ごめんね、とルークの赤くなってしまった頬に触れながら小さく呟く。


「…あの子、綺麗だったわね」

「んー…そうか?(絶対にティアの方が綺麗だと思うけど…)」

「ええ、かなり。それに…ルークのことが好きみたいね」

「う、うん…でも、俺は…、」

「俺は?」

「なっ、なんでもない!!//」

「…そう?」


顔を覗き込む。俺は、の続きは、気になるけれどなんなのか教えてくれなかった。じっとルークを見つめると、さ、早くいこーぜ!!と手を引かれ、結局アルビオールまで手を繋いで走っていった。




そのあとアニスたちに散々からかわれ、ルークは、何て言われたの〜?と問い詰められたのは言うまでもない。


fin

───────


ノエルってルークのこと好きなんだよなぁ…モテるんだよな、るーくん…よし、性格悪い子に告らせちゃえ!!

と思ったのがきっかけです。←
書いてて超楽しかったです(^3^)/笑

100325 べべ

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