小説 | ナノ

 怖がりさんとヘタレ君

ここはとある夢の国、ねずみーらんど。世界の人々が何もかも忘れて純粋に楽しめる場所である。

久しぶりにみんなの休日が被ったということで、遊びに来ていた。

「俺ここ来るの初めて!!」

美男美女組の中でも特に目立つ、目をきらっきらさせている朱毛の男の子、ルーク。

「可愛い…//」

その隣でマロンペーストのさらさらの髪をなびかせながら、目の前にいる着ぐるみのネズミと黄色い犬をうっとりと見つめる女の子、ティア。

そしてその後を続く六人、アニス、ジェイド、ガイ、イオン、アッシュ、ナタリアの総勢八名。

「うっわ大佐いつの間に何かぶってんですか!」

「アニスにも何か買ってあげますよ。何がいいですか?」

「じゃあこれでv」


「─はいアニス。イオン様とガイにはこれを」

「ありがとうございます、ジェイド」

「…………;(苦笑)」

「ったく、馬鹿馬鹿しい。おい眼鏡、あの屑そのうち迷子になる…」

カポッ

「そしてアッシュとナタリアにはこれを♪」

「アッシュとナタリア、さっきのネズミのペアのやつだ!!…アッシュ似合うよv笑」

「……なんだこれは」


「はい、あなたたちにはこれですアッシュたちのはこれの色違いですよ」

「あ、ありがとうございます大佐//(ルークとペアの…//)」

「さんきゅー(ティアとペアの…//)」


*

じゃーまずジェットコースター行こうぜ!!というルークの声に、迷子になるなよーとガイが声をかける。やれやれと言うようにみんなそのあとをついていった。


─────

「あれ、ティア…もしかして…怖い?」

「こっ…怖くなんか、ないわ」


暗闇の中、ガタガタと音をたてながら明るい方へとレールをゆっくりのぼっていく。ルークの隣はティア。初っぱなからひゃっほーうなどと叫び、生まれて初めてのジェットコースターを楽しんでいたルークだが、隣にいるティアは無言だった。

ルークはそんなティアをじっと見つめる。その間にもどんどん上へとのぼっていく。ガタン、とすこし大きめに揺れたとき、びっくりしたティアが声をもらした。

「…ひっ」

そして、ルークの手をつかみ、きゅっと目をつむる。可愛いなぁ、なんて思いながら口元を緩めると、その瞬間。


「「「きゃあぁぁあぁ!!」」」


急降下した。


────…


「やっべー!!何これ超楽しい!!」

「本当ですわね!後でまた乗りたいですわ!!」


あの後、ルークたちを乗せたジェットコースターは最後の最後まで最高スピードで進み続けた。出口まで行く足がよろよろしているティアは、ルークに軽く支えられながらゆっくり歩く。意外なことにアッシュもふらふらしており、ナタリアに支えられていた。

少ししてジェイドが出てくると、写真写真〜っ!とアニスが駆け寄る。しかしジェイドは、後でのお楽しみですよと写真を隠してしまった。

「さぁ、次行きましょうか♪」

ブーブー言っているアニスを宥めながら、ガイが地図を取り出す。

「そうだな。絶叫系乗ったから、ゆったりとした感じのがいいか?」

ガイのその言葉に、ティアはそれはもう勢いよく頷いた。アニスはそんなティアとケラケラ笑っているルークを見てから、地図を見る。

(…あ)

そしてある建物があるのを見つけると、にんまりと微笑んだ。

「お化け屋敷、かぁ…♪」

「アニスはお化け屋敷に行きたいんですか?」

「え?…あ、どのくらい怖いのかなって思っただけですよぅ!さ、イオン様もいきましょ〜!!(あとで大佐に提案してみよっと)」

結局ゆったりめのアトラクションに行くことになり、みんなが歩いていったのを追いかけるように、ルークはティアを気にしながら二人で歩いていった。



「可愛い…vV」

何だか幻想的な空間の中。今回も互いに隣をキープ。人形たちが歌う声が響き、とても穏やかな時間が流れていた。ティアは完璧に治った様子。むしろ最初よりもテンションが高く、楽しそうにしている。


(お前のがかわいーよ)


なんて思いながらも、ヘタレなルークは口には出せない。ジェイドとアニスは何となくその心境を悟り、青春ですねぇと二人で生温かく見守っていた。


──────

「着いたよ♪」


八人が見上げる先には、大きな不気味なお屋敷。向かう途中でパレードも見れて気分がノッていたティアだったが、一緒にして気分ががた落ちした。


「まあ!お化け屋敷ですわね♪」

「二人ずつイスに座って中をまわるらしいですよ」

「ほぉ。楽しそうだな」

みんなは入るのに賛成の様子。そして視線は、ティアに集まる。ティアがお化け嫌いなことは、ティア自身から言ったことはないが、全員が知っていた。

「…ティアは…どうする?嫌なら待っててもいいんだぜ?」

ルークはジェットコースターに続いてお化け屋敷(間にかなり時間はあったけれど)なんて大丈夫かと気にするが、ルークの裾をちょこんと掴むと、小さく呟いた。

「……行く」


──────


「…では、行ってらっしゃい」


黒い服を来た従業員が、ルークとティアの二人に手を振る。だが、ルークもティアもすでに振り返す余裕はなかった。


(う、腕…っ///)


なぜなら、ティアは当然まわりの様子が見たくないわけで、ルークの肩に顔を埋めて腕にぎゅっと抱きついているから。恥ずかしいなんてことはもう関係なくなっていた。
ルークの心臓は違う意味でどっきんばっくん音をたてている。少し音が聞こえる度に、ティアがびくっとする。最近ルークはティア大好き状態が止まらないため、やっぱり今回もティアを見ながらかわいーなぁと思っていた。


────…

少し前にお墓が見えてきたところで、ルークはティアに話しかけてみた。

「…大丈夫だよティア、あんま怖くねえって」

「ほんとに…?」

ちょっとだけ、見てみようかな。ルークの言葉を信用し、そっと、ティアが顔をあげた瞬間。左側の墓の後ろから、ゾンビの人形らしきものが飛び出してきた。

「きゃあぁぁぁっ!!」

びっくりしたティアは再びルークの肩に顔を埋め、さらに密着する。

「ルークのばかっ、嘘つきっ!!」
ぎゅうぅ。

(…メ…メロンが…!!//)

ただ単にからかおうと思っただけであって、別に変な下心があって言ったんじゃないのだけれど。ナイスタイミングでゾンビが出てきてしまったため、さらにお化けどころではなくなったルークであった。


──────


「ティア、ごめんって」

「…………。」

「俺だって知らなかったんだよ、あんなのが出てくるなんてさ」

「…………ばか」


数分後。半笑いしながら、ルークは謝っていた。顔はそっぽを向いているが、ティアの手は相変わらずルークの服の裾をつかんでいる。ほんと怖がりだよなぁ、と笑うルークとむくれるティアをみてにやける頬を抑えて、アニスは2人に声をかけた。

「ナタリアとアッシュは、遊覧船に乗ってくるって。私たちはジェットコースター行くけど、ルークとティアはどうする?」

「俺らも別行動するわ。四人で行ってなよ。終わったら、携帯に連絡して」

「うん、わかったー☆」

いってきま〜す、と手を振るアニスたちを見送ってから、地図を取り出してティアが好きそうなところを探し始める。

「よし、ティア!みっきぃの家行こう!」

見つけた場所を指差して、満面の笑みでそう言うルークだが、ティアはどこか申し訳なさそうな顔をしていた。

「ルーク…行かなくていいの?ジェットコースター好きなんでしょう?私は待ってるから、行ってきても…」

そう言いかけ、ルークの袖からパッと手を離す。ルークは少し間を開け頭をぽりぽりとかいてから、ニコッと微笑んだ。

「ばーか。いんだよ別に。俺は、…その、」

「…?」

「…ジェットコースターよりもティアといるほうが………すき、だから」

俯きながら、ぽそぽそと呟く。ちょっと頑張って言ってみたが、聞こえてなかったらしい。

「え?」

きょとんとしたティアの顔。なに?と聞き返されたが、はぁ、と軽くため息をついて少し赤く染まった頬を隠しながら、手を差し出した。

「…何でもない!…ほら、いこーぜ」

何だかよく分からないけれど、一緒にいてくれるみたいだ。そっと手を伸ばして、ルークの手を握った。






「うおっし!手繋ぎましたよ大佐!」

「しばらく合流しないほうが良さそうですね♪」

「そうですわね。さあアッシュ、わたくしたちも行きましょう!」

「ああ」

「俺たちも行くか〜」

「そーだね〜☆
イオン様、行きましょうっ!」

「はい。ナタリアとアッシュも、楽しんできてくださいね」

「ええ!」


アニスたちが見ていたことを知ったのは、それから数秒後のことだった。


fin



───────
あーTDL行きたいなぁと思って書き始めちゃったものです。
題名思い付かなかったw

ちなみに回った順は、
たぶん
ビックサンダーマウンテン
イッツ ア スモールワールド
ホーンテットマンション(合ってる…?
ジェイドたちは
再、ビックサンダーマウンテン

ナタリアたちは
遊覧船…(名前忘れた

ルークたちは
ミッキーの家。

です。たぶん。


100124 べべ


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