小説 | ナノ

 世界中の誰よりも

毎日会いたいのに会えない。

あの旅をしていたころは、それがこんなにもつまらないものだなんて思ってもいなかった。


―長い間離れるだなんて、初めてだったから。


帰ってきてから初めてのデートまでのときなんて、もう毎日つまんなくて仕事なんかも全っ然進まなくて、ナタリアに怒られっぱなしだった。…まあ、今さっきまで、“手が止まっていますわ!”とナタリアに怒られてたのだけれど。

――――――

(…あと、30分…)


カチカチと針が進む音が一定間隔に聞こえる。俺は、数分おきにその時計を見上げてはため息をついていた。

(早く時間経たないかなー…)


―そう。
今日は、待ちに待ったティアとデートの日。つい先ほど怒られたというのに、ペンを持つ手はもうすでに止まり、俺は時計ばかりを気にしていて。もうそろそろかな、と時計をチラ見しても、針は先ほどから3分くらいしか経っておらず、肩を落とす。それを、もうずっと繰り返していた。


「ん゛〜〜〜〜〜……」


集中しようとしても、やっぱりできるわけがないくて。ガタンと音を立てて勢い良くイスから立ち上がる。仕事はあとで一気にやればいい。時計があるとちらちら気にしてしまうので、俺は外に出ることにした。


─────


(あれ…もう船着いてんじゃん)


とりあえず港へと足を進めると、そこにはもう数分前に着いていたと思われる船があった。中から出てくる人はほんの数名で、すでに港は船から降りた人でいっぱいになっている。人の間を掻き分けながらきょろきょろと船のあたりを見渡してみるが、愛しい恋人の姿はどこにも見えない。


(いつもここで待ってるんだけどな…)

もしかしてすれ違ったのかなと思い、踵を返そうとしたとき


「ちょっ…離して!」


後ろから、声が、聞こえた。
聞き間違えるはずがない。

声のした方向に振り向くと、変な男に腕を掴まれている、亜麻色の髪の女の子。


「キミ可愛いね、いま何歳〜?」
「彼氏いんのー?」

「っ…離して!!」

―――ティアだ。


男の中の1人がティアの胸を凝視しているのを、その隣の男が髪の毛綺麗だなぁとか言いながらニヤニヤティアを見ているのを、俺は見逃さなかった。ブチッと、俺の中で何かが切れた音がする。

後ろから変な男らに近づいて、ティアの腕を掴んでいる腕を、思いっきり掴む。そして、自分でも驚くほど低い声で男に声をかけた。

「…おい、てめぇ何してんだよ」

「は?」


男はニヤニヤした顔をこちらにむける。その顔にイラついた俺は、更に強く男の腕を締め付けた。

(…人の女見てニヤニヤしやがって。…超キモい、むかつく!)

「い…ってぇ、離せ!お前には関係ね…」

「ルーク、…っ!!」


突然現れた俺にティアは一瞬目を丸くさせると、早くここから出たい、と訴えかけるように俺に向って手を伸ばしてきた。それをみた男がティアから手を離したすきに、ティアを抱き寄せ、唇が触れるほどの軽いキスをする。そして、目を丸くしている男らに、ニヤリと笑みを浮かべた。


「こいつ、俺の女だから!」


──────


「ルーク、…もう、ルークったら!」


─あのあと。
男らは諦めたのか、渋々ティアから離れて逃げていった。─ああ、もう超ムカつく。ティアは可愛いし美人だし…モテるんだって、わかってたはずなのに。

なんか、やだ。他の男がティアに可愛いとか言ってるのを見ると、すげぇイラつく。

ティアの俺を呼ぶ声を背中に聞きながら手を引いて屋敷に向かっていると、突然しゅんとしたようなティアの声が聞こえた。

「……ルーク…怒ってるの…?」

いきなりのその声に驚き、振り返ったさきには、不安そうに上目遣いで俺を見つめるティア。


「……可愛すぎなんだよ、お前は…」


小さくそう呟いて、あまりの可愛さに、街中というのを忘れてキスをする。


「……っ//!!…ルー…ク…//?」

「………俺だけが、可愛いって思えればいいのに」


「え…っ?」


かなり小さく呟いたその願望は、ティアの耳にまで届いていなかったらしく、きょとんとしながら首をかしげていた。ほら、また。こんなちょっとした仕草も、他の男には絶対見せたくない。無意識のうちに見せてるんじゃないかって不安まで襲ってくる。

俺ってこんなに独占欲強かったのかなー…とため息を吐き、ティアをぎゅっと優しく抱きしめると、彼女は俺の腕の中で頬をほんのりピンク色に染めた。

「ルーク?//」

「ティア…俺以外のやつの前で、そんな顔絶対見せんなよ」

「みっ…見せるわけないじゃない!例え抱きしめられたとしても絶対にないわ。…あなただから、こんなに赤くなってしまうの」

肩に真っ赤になっている顔を埋めながら、ティアは言う。いちいち動作が可愛すぎるティアを見ていると、自然に笑みが零れた。



fin

──────

「こいつ、俺の女だから!」
ってルークに言わせたかったんです!←

結局、可愛い可愛いって言いっぱなしなよくわからない文になってしまいました\(^q^)/
そしてよくわからないしめ方…。

私の中のルークは、ティアが大好きすぎて人目も気にしなくなっています。

でもヘタレルークもすき←


091204 べべ

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